さいごのおたより







短刀たちとお風呂に入り、私は途中で出て彼らが
残りの三振りにお風呂の入り方を教えて出てきた。


陸奥守と加州が何やら清々しい顔で現れたから何かと思って
乱に聞けば、裸の付き合いが功を奏してお互いへの意識が変わったんだそうな。
陸奥守の方が特に加州との間に壁を作っているような
感じだったので、特に彼の加州への態度が砕けてて安心した。




私は現世について広間にあるテレビを点けてニュースで確認していた。
もちろん私の回りには、男士たちが各々好きなことを
して(ほとんどがテレビを観て)いる。


テレビで流れるニュースは物騒な話題が多くて、
私は何となく居心地が悪かった。
話題が、あの歴史的にも衝撃だった事件である『富岡八幡宮切りつけ事件』から
もうすぐ200年経つことについてやっていたからだ。


「何じゃあ、廃刀令からもう140年以上経った世で
こがな事件が起きちゅうたがか!
ほんでまあそれからはや200年も経ってしもうたんか……」
「現世は中々、太平の世を迎えませんね」
「まあ人間なんてそんなものでしょ」
「でも、私怨で切りつけんのは良くねぇよなぁ」
「しかもその私怨すらくっだらない!」
「これは、た、ただの八つ当たりですよね……」
「この男は自業自得です!」
「……こんなのは復讐じゃない……」
「まったく、ひどすぎてあきれますね!」


そうだよねぇ、私もこんなで事人を傷付けて命を奪うなんて
許せないし、それにこんな事に刀剣を持ち出した事が許せない。


特集が終わって今度は『近年ブレーク中のお菓子、琥珀糖!!』という
特集に画面が切り替わる。それを見た男士たちは一斉に
綺麗だ美味しそうだと言い出して、これは明日かいつか近いうちに
作らねばならなくなりそうだと私は確信した。






そろそろ寝ようか、なんて考えていた時、こんのすけが
ポンッと現れて私に一枚の紙を差し出した。
何だろう、とそれを手に取り読んでみれば、
ポタリ、ポタリと畳の色が濃くなるのが分かった。





こんなの、こんなのって

心から嬉しくて、心からかなしい




私が手にしたそれは、前の本丸にいた者たちからの伝言を
政府が電報にしたものだった。

こんのすけが言うには、前の本丸の彼らと通信だけはできたらしい。
しかしそれは戻れることには繋がらなくて、
だからこそ柴浦さんは私には言わなかったのだという。





“主へ”

“わしらの事は、はやほがぁに気にしのうてえい”

“そりゃあ、嫌じゃ嫌じゃゆうて泣いちゅうもんもいたがやけど、今は誰もほがな事言わん”

“みな、よう理解しゆうきに”

“もう主に会えんのは悲しいけんど、それが人生じゃ!”

“主のもとでやり残いたことが何ちゃあ無いっちゅうたら嘘になるけんど
わしらの一等の願いちいうんは主の幸せじゃ”

“主、わしらの事は忘れきおせ。
じゃけんど、はやわしらの事で悲しまんでおせ”

“主なら、大丈夫じゃ!”

“みなを代表して、陸奥守吉行より”


“追伸 主様、僕たちは主様の心の片隅にいられるだけで嬉しいです”

“新しい所でも、僕たちを可愛がってください”

“五虎退より”





涙で顔がぐしゃぐしゃになるくらい泣いて、泣いて、ひたすら泣いて
私はとにかく泣いた。


今の本丸の彼らは私に寄り添ってくれて、
陸奥守と五虎退は特に顔を寄せて私を抱き締めてくれた。

二人の、皆の暖かさを感じて、私はとにかく泣けるだけ泣いた。






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