1-2 やっとの思いで自室を抜け出した私は少しムカムカしながら部屋の廊下を歩いていた。先程の承太郎の行動はなんだったのか。ただ、私をからかっただけなのだろうか。それならば益々腹が立つ。 「…名前ちゃん、なにかあったのかい?」 「!…花京院…」 後ろを振り向くと、少し苦笑を浮かべながらこちらを見ている花京院の姿が。何故後ろから花京院が来たのだろう。花京院の部屋はジョセフおじさまと一緒じゃなかっただろうか。 「どうして花京院がここに?」 「ああ、少しね…。それより、名前ちゃん…手首が鬱血してるように見えるけど…」 そう言われ自分の手首を見ると、確かに承太郎の手であろう痕がうっすらとではあるが残っていた。ああもう、これではプールに入れないではないか、と再びムカッ腹が立った。 「承太郎となにかあったのかい?」 「あっ…、いや何でもないの。でも、心配ありがとうね」 そう言って微笑むと花京院は照れたようにはにかんだ。ああ、癒される。承太郎とは大違いだわ。 「お二人さんよォ〜、そんなとこで花飛ばしてねぇで、部屋に入ったらどうだ?」 「ポルナレフ!」 「ああ、丁度いいところに。これ、ジョセフさんからの差し入れだそうだ」 「おっ、なんだなんだ?!… …なんだこれ、パンツゥ?!」 「新しいものなら包帯代わりに使えるから、とのことだ」 「ああ、そういえばそんなこともあったね」 そう言うと私と花京院は前に泊まったホテルであったことを思いだし、二人で吹き出した。ポルナレフは顔を赤くして、そんな前の事さっさと忘れろよ!と焦っていた。 「じゃあ、僕はこれで。名前ちゃん、承太郎には気を付けなよ」 「あん?承太郎となにかあったのか?」 「なーにも!そんなことより、きちんと傷口洗ったんでしょうね?」 「勿論!きちんとやらねーと、また口煩く言われっからな」 「それは結構!先ずは腕からね」 私は部屋に入ると、ポルナレフの右腕の手首を掴み、腕の傷から消毒し始めた。痛々しい傷も、怪我をした昨日に比べればよくなった気もする。が、痛々しさは変わらず、私は思わず顔をしかめた。 「名前、どうした?自分の傷じゃないってのにそんな辛そうな顔して」 「…女ってのは自分の痛みには強いけど他人の痛みには弱いものなの」 そう言いながらお腹の傷の消毒にかかる。相変わらず凄い筋肉だわ。 「自分の痛みには強いねぇ〜。その割には、つい先日まで真っ青な顔してお腹抱えてた気がすっけどな」 「……セクハラ?訴えたら勝てそう」 「バッ…冗談だよ!冗談!……っと、治療ありがとな」 「どういたしまして、…あんまり無茶しないでね」 「…ッ、あー!もう!!可愛いなア名前は」 ポルナレフは私を抱き寄せ頬擦りし出す。私はと言えば、先程消毒した傷に当たってしまうんじゃないかと気が気じゃない。というか、なんだか扱いがペットみたいで少し不満だ。 と、そこにアブドゥルがやってきた。そうか、同室だもんね。 「こ、こらポルナレフ!!名前が嫌がってるじゃないか!」 「え?!!そ、そんなことないよなあ」 「嫌だよ!これじゃあ私ペットみたいじゃない」 「なんだ、もっと女として扱ってほしいってか?仕方ないな…名前が言うなら…」 「ポルナレフ!!!!お前ってやつは〜…」 どうやらアヴドゥルがお説教モードに入ってしまったようだ。私はこの隙に退散するとしよう。 [ <<Jogio top ] |