12. 蛇足
二〇二五年五月十六日 ――


「……さあこのMJリーグファイナル最終戦、四チームのうち三チームのどこが優勝するか、分からない状態のまま南四局に突入しました」


「親のキクカデイムの岡本はポイント差的には点数を稼ぎたいところ、一方TEAM雷神の名字は現在トップの麻雀決闘組合との差は満貫以上での和了が必要となっています」
「しかし名字のこの手牌だとドラも絡ませづらいし四翻つけるのは相当厳しいですね」

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「さあキクカデイム・岡本、仕掛けました。三萬をポンしてタンヤオドラドラの形に持っていくつもりですね」
「待ちも広いですからね、これは好形の一向聴じゃないでしょうか」
「それに対して……おっとTEAM雷神の名字、有効牌を引いてきたァ!聴牌!……ですが、こ〜れでは点数が足りないですね?!」
「そうですねー、立直をかけたとしても立直ドラ赤で三翻、裏が乗るか一発がつかない限りは……優勝は厳しいですね」
「さあどうする名字…………おお?!!そこ捨てるの?!!」
「どういうことですかね……これは」
「塔子になっていた四萬五萬から五萬切って岡本がポンした三萬でカンチャン待ち?!!もう分かんない?!!分かんないよ名字さん!!!」
「今全雷神サポーターが愕然としてるんじゃないかな……」


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「さあ岡本、ようやく掴んだ聴牌、自摸ることはできるか…………ああ?!!これは?!!三萬だ!!!三萬!!!えっ、これ多分カンしますよね?!!」
「岡本は点数欲しいでしょうし、一見全員の安牌に見えるのでね、すると思いますよ」
「まさか!!!そんなことがあるのか!!!この槍槓が見えていたというのか!!!!雷神・名字〜〜〜!!!」


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岡本がカンを宣言した直後、感情の起伏がない低く妖艶な声が響いた。そして誰もが驚きを隠せない表情のままその場に固まってしまった。

「ロン……満貫、8000」

五萬切り地獄単騎の三萬待ちはまさに彼が『悪魔の男』と称される所以となる華麗な打ち筋であった。



[End.]

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★小ネタ解説 …… カクテル言葉
・ファジーネーブル(桃とオレンジの風味の酒):曖昧な態度
・キスミークイック: 幻の恋
・ケーブルグラム: あなたに会いたい


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