揺られる少女
数日、変わらず過ごしてきた。
すっかり慣れてしまった真ん中でふたり付かず離れずの距離で寝ているベッドから、のっそり起き上がって朝食兼昼食をとる。何から何まで、こいつが言いつければその1分後には用意が整うんだから、ここの船員は相当やり手だ。
カタカタと食器を片付けていく船員を見て、ドフラミンゴに問いかける。
「ねえ、わたしに仕事、ない?」
この部屋にいてもやることが無いのだ。本は英語かそれ以外の読めないものばかりだと分かったし、ドフラミンゴは仕事の書類を眺めているだけだし、かと思えばやたらひっついてくるだけで、特に用事を言いつけるわけでもない。
結論、とにかく暇を持て余している。
「あァ?〇〇チャンが働く必要なんざねェよ。ほら、ここ座っとけ。」
ソファでくつろぐドフラミンゴがぽんぽんと叩くのは自らの膝。舌を出して拒否し、向かいのソファに浅く腰掛けた。
「私はただで置いて貰おうなんて思ってないの。ね、お願いだから〜」
真剣な瞳にドフラミンゴが目を合わせながら言った。このままだと、暇すぎて死んでしまいそうだ。
「じゃあ、〇〇チャンに仕事だ。俺の膝に座ってろ。」
「あんた本気で殴られたいの?」
「冷てェなァ、お願いっつったのはどこのどいつだ?」
「きゃ!ちょっ…!」
気づけばもうドフラミンゴの腕の中に居た。
「〇〇はここにいろ。」
「この部屋、退屈だから嫌なの。」
「フッフッフッ!〇〇?ここっていうのはな、この部屋って意味じゃねェ。俺の腕ん中って事だよ!」
「はあ?あんたの?」
「当たり前だろうが。あァ?嫌か?逃げるか?」
力強く優しく包み込まれるように抱き締められる。出会って間もないよく素性も分からない男にこんなにされている、なんて3日前だったら、自分で自分を半殺しにしているかもしれない。
「あんたから逃げるなんて無駄でしょ?」
「!!まァな、死ぬまで逃がさねェよ。」
私は今、目の前のこの食えない、気に入らない男を面白いと思ってしまった。ここに落ちてきた時からひたすら拒否し続けてきた男を。一瞬の気の迷いだ、きっと。そう思うことにした。
「何で選りに選って私なんだろう。」
「フッフッフッ!こっちが聞きてェくらいだ!」
さらに腕に力がこもり、耳元で囁かれる。珍しく余裕のない声が響く。
「〇〇、俺はお前ほど俺をかき乱す奴を知らねェぜ。」
「かき乱してるつもりは全くないんだけど?」
この男の前では我が儘になってしまう、口から出るのは素直ではない意地悪い言葉ばかり。それを分かっているのか、私の首元に顔を寄せた。後頭部を撫でるとぴくりと反応した後、顔を埋めた。
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