料理したい少女



スタスタと躊躇無く踏み込んでくる少女がいた。

「へぇ!こんな広いところ初めて見た!」

「どうしたんだ?お嬢ちゃん」
「こんな若ェ船員いたか?」

男所帯のコック達がわらわらと集まっているところに〇〇が、満面の笑みで言った。

「お仕事くーださい、人手が余って困ることはないよね?」

コック長が出てきて、頷いた。

「困ることはねェな、いいぞ」
「わあ!本当に!?嬉しい!」

素直に喜ぶ姿はとても可愛らしい。

その直後、皿を抱えたウエイトレスの少年が息を切らしてキッチンに入ってきた。

「コック長、あの娘、〇〇様です…!」
「何だって!?」

キッチンの場所を教えた途端、すぐに消えるような速さで去ってしまった〇〇を追いかけてきたのだ。
キッチンから出ないコック達は〇〇の存在を噂でしか知らなかった。

「お嬢ちゃん、今更ダメだって言っても聞かねェよなぁ?」
「もちろん?」

コック長が、こりゃ若様に大目玉を食らうな、と呟いた。

「その心配はしなくてもいいよ、怒られるのは私だもん」
「え?」
「私がドフィに大人しくしてろって言われたけど守らなかったのよ?怒られるのはそれだけ、貴方達が怒られる理由は何もない!」
「ハハハ!とんだお転婆娘だな!」

コック達の海賊の陽気なノリが〇〇にも心地が良かった。

「ねぇねぇ、ドフィに連絡取りたいんだけど、できる?」
「若様は取引中だと思いますので…それは〇〇様でもちょっと…」

「あぁそうか。じゃあいいや。それより、〇〇様ってそれやめて!」
「でも…」
「コックさんたちも!私の名前はお嬢ちゃんじゃないからね!」

くるくると変わる表情が魅力的で、ウエイトレスの少年は知らない間に頷いていた。

「〇〇ちゃん、どうしてそう働くことにこだわるんだい?」

「こだわる、っていうより、働いていない方がおかしいじゃない?ドフィに拾われて置いて貰ってるだけっていうのが嫌なの、何かしないとって思って。」

きょとんとしたコック達が、次は一斉に笑い出した。

「〇〇ちゃんは若様のことが好きなんだなぁ」
「はっ!?何言って…!?」
「ハハハ、これは若様に言うしかないなあ!」
「ちょっと…!?」

よしよし落ち着け落ち着け、とコック達になだめられても、納得のいかない〇〇だった。

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