初めての島な少女
「もうすぐ着くぜ」
そう言えば、〇〇はものすごい勢いで窓辺へ駆けて行った。
「え?見えないけど」
「フフフ!反対側だ」
揶揄うように言うと、ぷくと頬を膨らませてのそりと反対側の窓へ足を動かしている。
静かに糸を伸ばし、家具を伝って〇〇の身体を攫った。
「ば…っかじゃないの!降ろして!!!」
窓を開け放って、空の道を伝って、船より上へ。星がとても明るい。
バタバタと暴れていた〇〇がピシリと固まる。
「落ちる落ちる落ちる」
「フフフ!俺が食った悪魔の実の事は教わってないのか?」
働かない頭に必死に鞭入れて、記憶を探っているようだ。
ローが図鑑を出しながら言っていた事、何だったっけ、と考えている事が口からダダ漏れだったが。
「えーと、海に嫌われる代わりに、能力を手に入れる…?」
「正解だ。…その俺が、海に落ちるなんてヘマすると思うか?」
苦い顔をして首を横に振る〇〇。
「俺に掴まっていないと、どうなるか、分かるな?」
「…はぁい」
大人しく首に腕を回してしがみつく〇〇を見て身体を全て預けられている事にニタリと口元が上がる。
「おい、目開けろ」
「わ、」
雪で真っ白に染まった島だった。ちらほらと見える灯りが暖かい色で、綺麗だ。一際灯りが集まる港町の塔の上を選んで下りた。
〇〇大きく目を開けキラキラと輝かせてあたりを見つめている。
いつもは少し大人に見えるのに、こういう時だけは年相応に可愛らしい反応になる。〇〇本来の姿をみているようで、気分がいい。
「下りるぞ」
もう一度〇〇を引き寄せる。食いつくように景色を見たまま、こくん、と頷いている。
「〇〇」
「ん?」
「街に下りたら俺から離れるな」
納得が行かない、というように口がへの字に曲がる。
「私は子供じゃないのよ」
「子供じゃなくても、だ」
ふぅん、分かったよ、小さな声が聞こえた。
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