思い詰める少女
夕暮れの街は所々についた灯りに人だかりができていて、景色とは一転、暖かい雰囲気だった。
白い煙が立ち昇る酒屋や飯屋からは食欲を刺激するいい香りが漂ってくる。
〇〇にとっては見たことのないものばかりで、辺りを飽きることなく動き回っていた。
もちろん、ドフラミンゴもぴったりくっついて、だ。
「ドフィ、くっつきすぎ」
「なんか言ったか?」
文句を言うと、より一層密着度が増すことが分かったので、黙っていることにした。
ふと、一軒の店に目が止まる。雑貨屋のようで、羽根をモチーフにした商品が並んでいた。どれも可愛くて綺麗で、目が奪われた。
この前、料理長にもらったお給料がある。船に戻ったらそれを持ってもう一度来よう、と決意した。
「〇〇チャン。そろそろ飯でも食いにいくかァ?」
「…いいの?」
「フフフ!そんな今更な!」
ドフラミンゴはそう笑って言うけれど、そう今更な事でもないと、〇〇は思い出していた。
先日のファミリー全員が集まるパーティーで、居場所がないことを感じてしまった。ローもベビちゃんも優しくしてくれる。しかしそれはあくまでも客人として。ドフラミンゴに呼ばれ、膝に乗せられたのはいいものの、自分がいることによって雰囲気が変わることが分からないほど馬鹿ではない。
ファミリーの一員のようになりたいとか扱ってほしいとかわがままなことは思っていないし、海賊になるなど覚悟もなければ、想像すらできないでいる。そんな風な、中途半端な立ち位置のままで気を遣い、気を遣わせながらの生活はなかなか苦しいものではないかと、考え込んでしまった。
今更などでは決してないのだ。
すっかり慣れてしまって忘れていた。いつまでこの船のお世話になるか、と言う問題が頭の片隅にこびり付いて離れなくなっていた。
ドフラミンゴが見せてくれるこの世界は、本当に面白い。
ドフラミンゴは、まだここにいろ、と言ってくれているかような扱いをしてくれる。
甘えてしまう自分に嫌気がさしそうだった。
そこから少しだけ歩くとレストランについて、席に案内された。
「何だ、具合でも悪りィのか」
ドフラミンゴが普段より真剣な声で聞いてくるほど、ぼーっとしていたのだろうか。
「なんでもないよ、大丈夫」
重い考えが頭から離れなくなってしまった。折角初めての上陸なのに。そんな想いを振り払いたくて、グラスが進む。
いつもの何倍も飲んでいるのに、全く酔えない。だるさだけが身体に来ている。
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