桃色を剥がされて
不快な感覚で目覚めると、目の前に知らない男がいた。嫌悪感で馬鹿力が出た。吹っ飛ばしてしまった。
口から何やら物騒な言葉が出た気がするが、それは問題ではない。
電車の中でさえ寝てしまうくらい疲れて帰ってきてるのに、痴漢なんて気色悪い上に面倒なマネされたらたまったもんじゃない。
いや待て。
ここはどこだ。
電車じゃない。
仕事やら学校やらで疲れ切った顔の乗客たちは居ないし、くすんだ色の座席も跡形もない。
ふっかふかのベッドや高価そうなデスクまで置いてあるどこかのホテルのスイートルームみたいな部屋だ。窓から見える景色は青一面、空と海だった。
船上なのだろうか足元が、ふわふわとしている気がする。
男をよく見ると、金髪にピンクもふもふを着て、濃い色のサングラスに、口元に三日月を浮かべていた。
スッと立ち上がった男はとても身長が高かった。とてもどころじゃない。
「あの、すいません、ここってどこですかね?」
とりあえずこの男しかいないので問いかけてみた。
吹っ飛ばされたのにもかかわらず、男はこの状況を愉しんでいるかのように、相変わらず笑みを浮かべまま。
「フッフッフッ!そうだなァ、グランドライン、だよ」
「…総理大臣は?」
「何だそりゃ」
「日本じゃないのここ」
「あ?ニホン?」
そこで、ぷるぷるぷる、と何かの音がなった。
音のする方を見ると、でっかいカタツムリが鳴いている。
男はその背に乗っている機会をいじって、誰かと会話をしている。
男が会話を終えるのを待った。周りをぐるっと見渡しても、やっぱり。そうとしか思えない。
男はわくわく、と効果音のつきそうなほどの勢いでわたしに寄ってくる。
「あのー、何か、私、異世界から来ちゃったっぽい。」
フッフッフッ!
ピンクのもふもふを揺らして男が笑った。
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