悪い微笑みの桃鳥



「グランドラインは何があってもおかしくねェからな」

もう一度腕の中に引き寄せられそうだったので、華麗にするりと逃げておいた。この先どうしよう、問題が頭を占める。


「おいお前、名前は?」

「うるさい喋りかけないで変態」

「俺はドンキホーテ・ドフラミンゴ」


ガン無視具合に無意識にこめかみがぴくっと動いた。さっきから腰に引っ付いてくるのがうざったくて仕方ない。


「〇〇。」

「!」


このまま答えなくても良かったのだが、いつまでも付き纏われるのは面倒だ。

目元は見えないが、ドフラミンゴは少し吃驚したようだ。だがすぐにまたあの笑みに戻る。この男は無意識に人の苛立ちを掻き立てる才能でもあるんじゃないか。


「〇〇チャン。 」


にやにやにやにや。


最悪だ。

さっきよりも余裕のあるような笑み。口元の弧がつりあがってつりあがって、、全部、私がコイツに頼る他ないことに気づいてやっているんだ。


死んでも頼みたくない、最悪だ。


身体が勝手に動いた。私よりひと回りもふた回りも大きい身体に引き寄せられていった。

何この世界、こんなのもアリ?

端正な顔立ちが近づく。


「俺が面倒見てやろうかァ?ん?どうする?」


ドキッとした。サングラスの向こうの瞳に捕らえられているような気がした。



首筋に顔が埋まり、ねっとりとした舌が這った。



思いっきりぶっ叩いておいた。

死んだ方がマシかも、と初めて本気で考えた。



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