会場に到着してビックリした。
みんないつもの雰囲気はどこかへ隠れてしまっていて、とても綺麗だった。
タクシーを降りて会場のクロークへ荷物を預ける。
「それにしてもすごい人の数ね…」
「うん…千姫、離れないでよね、私、初めてでわけわからないんだから…」
千姫は、聞いてるのか聞いてないのか若干上の空な返事をしながら会場に入って早速お酒を取りにバーコーナーへ向かう。
本当は日本酒が好きなんだけど、今日はワインにしておこう。
千姫に続いて私も白ワインを手に取った。
「あれ…どこの美人さんかと思ったら千里ちゃんじゃない」
ワインを手にして千姫の後を追おうとしたところで声を掛けられて振り向くと、そこにいたのは沖田さんと斎藤さんだった。
「あ、沖田さん…」
「今年は参加したんだね、すごく似合ってるよ。とっても綺麗」
「あ、ありがとう…」
沖田さんは恥ずかしげもなく平然と私を褒めてくれるが、斎藤さんはそっぽを向いたまま何倍もお酒をお代わりしている。
「斎藤さん…そんなに飲んで大丈夫ですか?」
「っ…!い、いや…大丈夫だ、問題ない…」
「……?」
全然私を見ない彼の頬は赤くなっていて、どう考えても大丈夫ではなさそうなのだが…
不思議そうに斎藤さんを見る私に沖田さんがいたずらな笑みを浮かべる。
「一君、お酒はすごい強いから大丈夫だよ。」
「そうなんだ…でも顔赤いよ…大丈夫なのかな…」
「あぁ、それはあんまり君がキレイだから直視できないんだよ…そうでしょ、一君」
沖田さんの言葉に思わず私が絶句していると、斎藤さんは先ほどの顔をさらに赤くして口を開けたり閉めたりしている。
そんな様子をみて沖田さんはケラケラ楽しそうだ。
沖田さんのそばにいると私まで恥ずかしさでおかしくなりそうだ…
千姫のところに行こうと、
二人に挨拶をして急いで後を追って姿を探すけれど人が多くて全然見つからない…。
タイミングが悪かった…。
これじゃあ恐らく閉会まで会えないだろう。
この姿じゃロクに食事もできないし…
どこかで休憩でもするかな。
辺りを見回すと、中庭に出られる場所を見つけて少し風に当たりたくて外に出ることにした。
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blue moon