コンフリクトで火傷

救いを差し伸べる手をいくら綺麗に描いても、そこに手を伸ばす人がいないとそれは、無意味に成り下がるのだ。

「ごめん」

救われたいのに、誰も今言えずに心を殻で覆った君はとても強いと思うのだ。きっと誰かに話してしまった方が楽なのは自分も知っているのに、それができないのは君が優しいからだと思う。
相談できる相手がいなく、愚痴のようにこぼすソレは心を蝕んでは、いつか君を殺すのではないかと思う。

「ごめんね」

君は自分は病気ではないと思っているからこそ、強いけど、正しいかもだけど。固定してしまって言い出せなくなっているのはとても悲しくなる。
手を差し出しているのに、謝ってくる君は本当に救いようがなくて泣けてくる。
君のことを全てはわからないけど、わかりたいとは思う。
不意にくる、不安はとても恐ろしいものだろう。心臓が冷えるようにくるソレは、君の機嫌を悪くしようと意地悪をする。素っ気なくなってしまうのはしょうがないのに、それを周囲に知られない異様に振る舞うのは君のきっと良いところであり悪いところだと思う。

「ちがうの、ほんとうに、ちがうの」

我慢できなくなって泣き始めた君を救いたいのに、君はさせてくれない。
家族に知られたくないと心を押し込めてしまっては、誰が君を救えると言うんだ。
助けてと言えない君を見てると仲間を作って救いたくなる。家族にいえないなら、君が信頼している人に伝えたらだめかな。嫌がるだろうけど。君は誰かに伝えたいんだろう?辛いって、誰か助けって。

「すぐ、泣き止むから。すぐ終わるから。こんなの、明日には、忘れてる」

なにが不安なのかわからないから、こその不安はきっととても怖いだろうに。それと一生付き合っていかないといけない君は、いつか途中でやめてしまうのではないかと思う。でも、それをできる勇気がないから君は、苦しい。

「ごめんね」

迷惑なんて思ってないと声をかけても君は罪悪感に見舞われて、また心を殺そうとしてる。

「大丈夫だよ」

そういうと君はもっと泣いた。
顔を覆いなにもかも守ろうとしてる君は涙ひとつもすくえない。
なんだか消えてしまいそうに思えて思わず抱きしめた。消えないでとギュッと包めば彼女はすがりつくように泣いた。
泣いていいよ。泣きなよ。もっと。今まで流さなかったものを流せばいい。でも、泣き止んで明日になったらきっと、私のことを避けるんだろうな。罪悪感なんてもたなくていいのに。私は、君が好きだから守りたいのに。
伝わらないのは、お互い様で。それでも、君の方が辛いことはわかってる。
生きていたくないけど死にたくはない。いや、死ねない。死んではいけないからこそ、君は生に縛られてる。それを解いてはいけないから君を救えない。

差し伸べる手は、いつだって。聖なるものだ。
でも、その眩しさから人はその手を見ることができないことがある。
私の手は聖なるものじゃないから、見えるはずなのに。見えてるはずなのに。君はそれを取ることを許してないから尚更辛くなるんだよ。
矛盾を生んでは苦しんで、君はいつからか大きな火傷を負っている。
冷やすこともしなかった君を救いたくてしょうがない。
不意に吹く風のようにくる不安を拭うものも飛ばすものもないから、悔しくて泣ける。
自分よりも不安になってる人がいる。可哀想な人がいる。薬に頼る人がいる。施設に頼る人がいる。死に頼る人がいる。だから、君は普通だと言い張る。君は、頑張ってる。それは、私が知ってるから、知っているから、笑ってほしいと思うんだよ。


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