Avoir l'automne

秋は夕陽が一番綺麗だと思う。
夕陽は空をピンク色に染める。雲までもピンクだ。フラミンゴのような雲は若干ピンクがかかった青い空にふわりと浮かんでいる。

「甘そうだね」

そういうと隣でのんびりと座っていた彼女がこちらを向く。

「あのさ」

「ん?」

「焼き芋食べたい」

なんとも間抜けな食べ物だ。焼き芋ほど間抜けな食べ物はないと思う。

「バターつけたい」

「私は、塩派」

友人が日誌を書き終わるの待っていたら、お腹が空いてしまった。なんとなく、日誌を書き終えても教室でのんびりとしていた。
窓から見えるグランドからは、元気な声がする。秋だから、きっと運動しやすんだろうな。

「焼き芋、好きなんだよね」

「秋にはもってこいだよね」

「てかさ。串カツの食べ放題はあるのに天ぷらはないの?」

「それな」

そういえばそうだ。串カツよりも天ぷらが食べたい時はどうするんだろう。

「天ぷらだと何が好き?」

「カボチャ」

「さつまいもじゃないんだ」

「いや、それも好き」

あんたは?と聞かれるから

「エビ」

と答えれば、

「野菜の方がうまいよ」

と鼻で笑われた。
なんとなくムッとした。

「別に、野菜も好きだよ。でも、エビうまいじゃん。白身魚とかも」

「あーね。てか、天ぷらは天丼がいい」

ふつうに食べるんだったら米いらない。天ぷらをくれ。なんとも乱暴なことを言い出した友人。
1つの机に向かい合ってスマホをいじる。指の動きから、ラインじゃないな。さては、

「今さ」

「うん」

「インスタで、食べ物見てるでしょ」

なんでわかった。と図星の顔をして、ニヤリと笑う。今度は友人がムッとする。

「でも、白米がうまいよね。この季節は」

「白米はいつでもうまいよ」

「白米に合うって言ったら、カレーだよね」

「いや、それもう。料理だから」

梅干しとかこんぶとかじゃないの?そこは。私の鋭いツッコミも無視して

「カレーって、3杯はいけるよね」

と言い始めた。

「わかる。3、4杯はいける」

「甘口派?辛口派?」

「スパイス系は苦手なんだよね。赤いのはいけるけど」

「ほう」

「だから、どうかな」

と唸ってると

「ちなみに、私は、中辛派」

と言い出した。卑怯な選択肢にないぞ。

「でも、おにぎりとかたまに食べたくなるよね」

「わかる」

「日本の米は、世界一!ってね」

「いいね」

ふと会話が止まる。今日の夕飯は何かな。ピンク色が消えてきて、なんだか空の上の方から暗くなってきた。

「夕飯何かな」

「当ててやろうか」

いいよとも何も言ってないのに勝手に考え始める。当たるはずないのに

「スペアリブ」

あー、と顔をする。ニヤリと笑う友人に

「いや、答え知らないから」

ニヤリ顔をやめるように、左手を友人の顔の前に出した。

「スペアリブには、煮卵入れる派」

「うまいよねー」

「煮卵うまい」

「たまにパサパサしてるから嫌いって言う人いるやん?わからんでもないけど、うまいよね」

「おでんとかね」

「あー、いいね。大根とかね」

「出汁、しみしみの。ね」

「牛串、割とうまい」

「はんぺんの中に卵が詰まってるやつ知ってる?」

と聞けば

「え、なにその。私に好かれるために生まれてきたような食べ物は」

と言ってきたから、ふふんと得意げにすればムッとされた。

「コンビニのおでん、どこが好き?」

「えー、あんまり食べたことないからわからないけど。セブンはうまそう」

「ご飯系強そうだもんね」

「でも、ファミマの餃子はんぺん好き」

「うまいよねー」

「てか。餃子って無限説」

「わかる!」

「ご飯いらんくね?」

「さっきまで、白米は世界一とか言ってたのに」

呆れた声を出せば、それはそれこれはこれと言われた。

「てかさ。フランス料理とかあまり食べたいってならんのんだけど」

「あー」

「美食すぎて、うまくなさそう」

「素材を活かす料理でしょ?でも、アヒージョとかあるやん」

「え、あれ。フランスじゃないし」

「うそん」

「フランスパン使ってるけど、スペインもそういうパンあるやん」

友人の博識に驚き、事実に驚愕。

「あれかな。民族料理はうまいとか?みんながみんなあんな高級食べないでしょ」

「あー。うちらが毎日寿司食ってないのと同じか」

「うん」

「でも、お菓子うまそうやん」

「あー、創作菓子」

「ケーキやばい」

「なにケーキが好き?」

と友人が聞く。

「決まらんけど。ショートケーキはやっぱり好き」

「私はタルト」

あー。と顔を輝かす。

「でもさ、今はおやつって気分じゃないな」

「あったかいものがいいね」

「スープ?」

「コンポタ?」

「カボチャ、割と好き」

「いいね」

夕暮れ時が迫ってきた。

「まだいたのか。そろそろ帰れよ」

見回りに来た先生に言われて

「はーい」

と返事をしてリュックを背負う。

「先生は今、なに食べたい?」

「今?うーん。肉?」

「料理は?」

「焼肉だろ」

先生の言葉に、二人であー!と顔をする。

「なんだ、お腹空いてるのか」

「今、ずっと食べ物の話ししてた」

「お腹空いた」

「じゃあ、早く帰らないとな。気をつけて帰れよ」

と先生に言われて、さよならをする。
二人で自転車置場に行く。鍵を差し込む。もう夜は冷える。まだ、18時なのに。

「夕飯時だ」

「お腹空いたねー」

なんとなく空気を鼻いっぱいに吸い込んだ。
冷えた空気が鼻に入ってきて、冬の訪れを感じた。

「冬だね」

「秋だよ」

私の言葉にツッコミながら自転車の脚を蹴って方向転換をしている。

「冬は、しゃぶしゃぶ」

「すき焼き」

「シチュー」

「おでん」

「クリスマスケーキ」

「ハロウィン!」

忘れてたと顔を見あった。

「ハロウィンだ!お菓子買わなちゃ!」

友人が楽しそうに言いながら、自転車にまたがる。
ペダルを漕ぐ、もう少ししたら自転車に乗るのが地獄となる。

「温かいもの食べたーい」

「お腹空いたー」

自転車を漕ぎながら各々の願望を叫ぶ。

「なに食べたい?」

友人に聞く。うーん。と悩んで

「白米!」

と笑った。

「世界一だもんね」

と笑った。信号で別れて一人で帰宅路につく。ご飯はなにかな。お腹空いたな。家に帰ったらご飯が待ってる。
自転車を停めて、鍵を抜いて。玄関をあける。

「ただいまー」

といえばおかえりが帰ってきて、子供のみが使える言葉を使う。

「夕飯、なに?お腹空いた!」

お母さんが夕飯を言う前に、スマホが揺れた。

『夕飯なんだった?』

お母さんからの答えを聞いて、クスリと笑った。
答えを私も送って、一言つけた。


『夕飯は、なんだった?』


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