低く薄い青空に煙のような雲が龍の如く浮かんでいた。日が当たっていても空気が冷たくなってきて、日陰に入れば肌寒い季節になってきた。
もう、北のほうでは雪が降っていて。コンビニのおでんとかが恋しくなる。マフラーを首に巻いて顎を埋める。可愛さよりも暖かさを取りたくなってきた。手袋をしなかった君。スマホがいじれないからと乾燥と冷たさによって繊維がくっきりと浮き出ていたおばあちゃんのような手を握っては開いていた。冷え性だからと足先も冷たかった君。死人のようだと笑っていた。
街路樹の葉が真っ赤になって茶色くなって木を寒くさせていた。冬はどうも弱いと白い息を出しながら話す君の横顔に暖かな陽が睫毛を煌めかせていた。
コスモスも枯れ始めて茶色が目立つ季節になって、君の存在が随分と濃くなった。
心が休まる時がない君は頼ることがとても苦手だ。相談も、助けもすればいいのにと思うけど、君は決まって。大丈夫という。そして、無理と。
今の自分が大変ならば、働いている人はどうなるんだと。苦しんでる人はどうなるんだと君は言う。
君も苦しんでいるだろうと言えば、こんなの甘えに過ぎないと随分と苦しそうな顔をして言う。
冷たい手先を包んで温めたいと思うのに手を隠す君。
元気にしているか。夏には溶けてしまいそうな冷たい手先を持つ君よ。生きているだろうか。
なにもかもうまくいかないと心を閉め閉ざす君の心はいつも手先を凍らせていた。
低く薄い青空に煙のような雲が龍の如く浮かんでいた。影が青く映るようになってきて爽やかな青をたくさん見られるようになった。街路樹の葉が真っ赤になり茶色くなって、木を寂しそうにしていた。呼吸をすると冷たい空気が鼻を痛くする。白い煙をため息とともに出す姿がそこにあるように思える。冬が魅せる幻覚は正しいものなのだろうか。瞬きを1つ。風が小さな竜巻を作っていた。
君の冷たい手と赤い鼻と悴んだ手先をきっと忘れることはないと思う。
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