夕暮れ時
もうそろそろたくさんの人が帰路に着くだろう道路を見ながらコーヒーを飲む
この空が暗くなれば帰れるかと言えばそういうわけではなく、なんなら今から仕事だ
「お疲れ様」
後ろから心地の良い低音の声が聞こえてきた
「お疲れ様です」
最近私の上司となった人。少し褐色の肌にキレ長い目。肌とリンクしている赤茶色の瞳は夕方を映している
特に言われたわけではないが、彼のコーヒーカップに先ほど落としたコーヒーを淹れる
スッと彼のテーブルに置く
「ありがと」呟くとひとくち飲んだ。冷まさずになぜ飲めるのかいつも謎だ
彼の側近はなぜか私しかいない。というよりも、もともといなかったらしい。そこになぜ私なのか。よく周りから聞かれるが知らない。聞いたことがないからだ。答えてくれなさそうだし
17時のベルが鳴る。子供達が帰る時間だ。このチャイムが聞こえてきたら、前の職場では閉め作業を初めてタバコを吸っていたところだ
2人しかいない部屋。なぜか私の出勤の半月以上は彼と同じ時間帯で組まれている。
夜勤などない部署にいた私。書類相手の仕事だとしてもやはりこの組織の本部長だからだろうか。夜勤というものがしっかりとあった
本部長が夜勤の場合は、総司令が昼勤の時である。
「今日の予定は?」
「夜なのでほぼないです。書類の処理がたくさん届いてます」
「それはまた、随分なラブレターだな」
ふっと笑ってコーヒーを啜った。
綺麗な鼻筋、絶妙な唇の形。少し骨ぼったい気もするが、シャワー上がりの上半身の筋肉のつきかたは熟練の型であった覚えがある
本部長になる前は参謀としてこの組織を支えてきた人だ。参謀が得意なのに接近戦が1番得意なのも謎だ
カタカタと音が響く部屋。本来ならもう1人くらいいるだろうこの部屋には2人しかいない。
報告書の確認、他部署からの問い合わせ、外部からのメール、国からの要請。仕事内容を彼から学んだ時は荷が重すぎて辞めたくなった。
まだ6年程度しかこの組織に入ってない私に国や外国相手にメールをするなど。人事部は本当に楽だったと心底から思った。
地方をトランクを持ちながら飛び回るのは大変だったが、旅好きな私には苦ではなかったし、人との会話も面白かった
「そうだ」
短く、彼が発した
「先日、美味しいワインを頂いたんだ。よかったら君もどうだい?」
「魅力的な提案です。でも、いいんですか?立派なモノを私も楽しんで」
「もちろんだ」 「赤ワインが好きと言った君の言葉を覚えてたんだ。1人で飲むよりも君と呑んだほうが楽しい」
「覚えててくれたんですか?嬉しいです。ならば、早めに仕事を終わらせねばなりませんね」
私がパソコンの仕事を見ながら言えば、クスリと笑って
「いいや。今日の仕事は多くないだろう」
楽しそうにいうから、首を傾げながらタスクを確認する
そう言われればそうかも知れないが、それでも、少ないというわけではなかった
「明後日でもいい内容を省いたらいいんだよ」
なんとも適当なことを言う。意外に仕事に対してお茶目なところがある彼は、今日はもう終わりだろというようにコーヒーを飲み始めた。
上司がそうなってしまったからには私が仕事に手をつけることはできない。
とりあえず、今打ち込んでるいる内容を終わらせる。その間に彼はルンルン気分で本部長に連結してある部屋に移動していた。隣には仮眠できるようにベットとローテブル、ローチェアが2つ。簡易的だが、部屋があることとシングルよりも少し大きいベットがあるのは流石だと思う
仕事を終わらせて隣の部屋をノックする。返事はないがそのまま入る。この部屋に入ることが少ないのでいつも周りを見渡してしまう。ローチェアの足を組みながら少しネクタイを緩めて頂いたワインボトルのラベルを見ている。その姿を横目にワイングラスを2つと栓抜きを取る。この部屋で食事をすることも少ないが、何がどこにあるかはなんとなくわかる
グラスをテーブルに置くと、スラリと細長い手のひらをこちらに向けてくる。その手に栓抜きを乗せる。なんの迷いもない美しい動作のコルク抜きに日頃から嗜んでいることがよくわかった。本当になんでもお似合いだ
グラスに赤紫色が注がれる。音もなく注がれるそれは美しい。注いだ後ビンを軽く回す様子も様になっていて、なぜ神はこんなにも不公平なのかと思う。あのベルから6時間が経っている。窓の外はカーテン越しでもわかるほど真っ暗だ。薄いテーブルランプとローテーブル側にあるランプの薄暗い部屋にフルーティな香りがする。少し前屈みになりグラスに鼻を近づけると、ふわっと、軽い匂いがした。乾杯とグラスを持ち上げた彼に習ってグラスを持ち上げる。チンっとガラスの音が響いた。ワインの色を見るのが好きな私は、グラスを軽く回し香りを嗅いで、ランプにグラスを近づけた。回すたびに色の抑揚が見える。黒い赤から軽い赤に変わる。このグラデーションが好きなのだ。口に少し含んでみる。鼻で息をすると薫ってきたフルーティが直にくる。果樹園が広がっているかのような香りと良い葡萄を使っているのがわかるほどの深い味。深くされど甘く。タンニンも感じ取れる。美味しいと片付けてしまうのが勿体無いが、語彙力もなければ体験したことのない味に簡単な言葉以外が見つからなかった。
「美味しいだろう?」
長い足を組んで片手でグラスを弄ぶ彼を見た
「美味しいです」
勿体無いと思いながらそれ以上の褒め言葉が見つからない。またひとくちと舌を労っていたら
「そこの棚にチョコレートがあるよ」
目線だけで場所を教えてくれた。立ち上がって棚に行く。戸を開けてみればこれまた高級そうなチョコレート。包にはカカオ90%と書いてある。なんとも苦そうだが
「やはり、ワインにはチーズもいいけどダークチョコかな」
包をローテーブルに出せばそう答えた
「私は初めての経験です」
「そうか。チョコは好きだろう?きっと気にいるよ」
私は彼の言葉を聞きながら包みを開け、蓋を開けた。濃いカカオの香りが鼻を叩いて少しツンと啜った。これもいただきものだろうか。親指と人差し指でつまめる色の暗いチョコレートをひとくち
深いブドウを味わった後にこのダークチョコレート。苦さが口に広がっていく。なのに全く嫌じゃない。先程のブドウを包み込んだようなふわりと覆い被せるようなチョコレートの味。口の中で噛んでしまったがそれでも十分なほどの味わいを感じれた。
「合うだろう」
聞かなくても食べてなくても分かっていたかのような瞳で聞いてくる。確信だったろうと言いたげな眼はランプの明かりで輝いて見えた。別に何かを返さないといけないわけではなさそうだったので、そのままワインをまた一口呑んだ。今度は深い葡萄がチョコレートを包んでくれた。非常に合う。コレは癖になりそうだ
彼が愛用のタバコを口に咥えて灰皿を用意し始めた。彼が用意をし始めたら私も愛用のタバコケースを取り出す。ライターで先を灯せばタバコ葉の焼けた匂いが広がった。
窓を開けるかと立ちあがろうとしたら
「君は、オセロは知ってるね」
低い心地のいい声が彼の煙と共に届いた。
「そこの棚にあるから、どうだい?一緒に」
そういうから窓を開けるのをやめてオセロをとりに行った
オセロなんて久しぶりだ。昔はよくやっていたものだが。大人になってやるのは何年ぶりだろう。オセロ盤を準備して、白黒の駒を2つずつ並べる
「僕は黒を」
そう言いながら黒をひとつ盤に乗せた。唐突に始まったオセロ。パチという音とワインの香り、タバコの煙の3つでこの部屋は成り立っていた
「参りました」
さすが元参謀。驚く暇もないくらいのスピードで角を取り、ひっくり返していった。おかげで盤は黒ばかりだ
「ではもう一度」
そういうから、駒を戻していく。彼は相変わらず脚を組みワインを片手に嗜んでいる
「では」
もう一度黒が初めに落とされた
長考してしまうが、きっと、負けるのだろうなというのはもう分かっていた。だが、投げやりになってしまうのは面白くない。彼の何番目の手順で私の駒が進んでいるのかがとても気になった。
「また、黒だ」
ワインを一口呑んだ。細い首に出っ張っている喉仏がいやらしく上下に動いた
「では、もう一度」
まだやるのか。ずっと勝ち続けて楽しいのだろうか。元参謀の脳みそに敵うわけないと彼は知っているはず。ではなぜするのか。謎だが、実に楽しそうに笑っている。笑上戸ではない。楽しそうに微笑んでいるのだ
3度目の勝負。だいぶこちらも酔いが回ってきて最初より頭が回らない。そもそも彼に勝てっこないのだ。ただ、私もこの空間が好きだった
「昔から、チェスなどよりオセロが好きだったんだ」
パチと黒を落としながら話す。相変わらず心地のいい声だ
「私は必ず黒を選んだ。一面が黒になるの方が見栄えがいいからだ」
黒を広げていく指先をワインで赤くなっている目で追う
「私はね。割と執着するのだよ」
パチと最後の駒が打たれた。なるほどそういう取り方をするのだな。さすがだ
「でもね、全部にではないのだ」
少し目にかかるパーマがかかった前髪からきらりと瞳が見えた。褐色の肌に合う明るめの髪色。瞳と同じだ
ワインを一口呑んだ。深いブドウとダークチョコのハーモニーは口の中で大演奏をしている。
甘い中にあるタンニンは大人の味だと主張してくる。ランプが反射するピアス。ゴールドのリングピアスが揺れる
「黒の一面にしたとして、その後何も起こらないならどうでもいいんだよ」
縄張り意識が強いし、物事の見方も人の個人への思い方も違う目線を持っているのは感じ取っていた。だが、そこに私が何かすることは特にないので関与もしなければ認知さえしていなかった。
ワインボトルは半分をきった。グラスがお互いに少し空いていたから最後にとボトルを持ち上げて彼のグラスに注いだ。空けてしまうことに確認もしなかった。する必要がなかったというよりも、気にしてないだろうと思った。
きっと、こういうことをあの後輩の子は言っていたんだろうな
グラスを口に運んでいく姿は絵になる。オセロを片しながらワインを飲む。灰皿から途中かけの紫煙がのぼる。
タバコの匂いとワインの香りでもっと酔いそうだ。
「君は、ここに辞令が出された時。何を思ったんだい?」
肘置きにつきながら、右手でグラスを持ち上げ顔の横で回している。その円周を追うともっと酔いそうだ
「そうですね、まさかと思っていました。べつに何かに貢献しているわけでもない人事部の人間でしたから」
彼は私の言葉を聞きクスリと笑った
「では、最後の勝負だ」
3回勝負とのいうようにさっきので終わりだと思っていた。グラスのワインはもうふたくち程だ。チョコは後3粒。タバコを出してから、タバコの方がすすんでしまった。
私よりも強いタバコを吸う彼。香りだけでクラリとする
パチと音が鳴る。タバコを咥えながら腕を組み長考してしまっていると
「灰が落ちる」
灰皿を灯りの下に持ってきてくれた。ふわりと微笑む彼。盤は半分しか埋まっていない。頭が回らない
「君は、お酒が弱かったんだね」
2人で飲むのは初めてだったから知らなかったと軽くいう。本当に知らなかったんだろうかと疑ってしまう。私のことはなんでもお見通しなような気もするのに
出してもらった灰皿を受け取り、灰を落とす。灰皿を戻し駒を置く。
元よりこの盤を見る限り角が2つ。私が置けるところがあと2つ。この状況でひっくり返せるわけがない。ただ、盤には緑の穴があるのはよろしくない気がして負けているのをわかりながら進めた。
煙を口からふぅと吐いて「参りましたね」と告げれば分かっていたのに嬉しそうに笑う
もう終わりだろうとオセロを片付ける。ワインはもう空だ。タバコを咥えながら盤を戻すために立ちあがろうとしたら、褐色の細長い指が2本。口からタバコを抜き取った。何事かと彼を見れば椅子に腰かけたままこちらを見ている。酔っているのか目が少しだけ赤い。が、ぱっと見ではわからないほどだ。強いんだなとのんびり思った。
綺麗な指が私の口紅がついたタバコを灰皿に押し付ける。私は黙ってそのタバコを目で追った。ああ、まだ吸えたのに
タバコに目を向けていた彼の瞳がこちらに向く。ランプの灯りが瞳に綺麗映っている。タバコを押し付けた手を私の頬に添える。手のひらは薄く固く大きい。骨ぼったい長い指は男性なのだと手のひらからしっかり伝わってきた。私は少し上げた腰がキツくなって座ろうとした。しかし、彼の方が行動が早かった。その指を撫でるように頬から顎に持っていった。私は動かなかった。動く意味がないからだ。ただ、前屈みはしんどくてテーブルに手をついた。テーブルがローテーブルだったこと。意外と弁慶にテーブルの端が近かったこと。いろんなことが相まって片膝をテーブルに乗り出してしまった。ボトルとグラスは倒れずに済んだが思った以上に彼の顔が近くになってしまったことに驚いた。今酔っていて顔が熱くて良かった。この心臓の驚きもうまく誤魔化してくれるだろう。だが甘かった。しまった相手は彼だった。私が驚いていることと驚いている内容はもう分かってそうだった。
彼の瞳に私が映る。こんなにも瞳が明るいことを知らなかった。彼の手のひらがぴたりと頬に添えられる。褐色の側にしては血色の良い唇。紅というよりも緋のような色。ひび割れひとつない薄く細いそれを私の唇に合わせた。意外に柔らかい。
私が引かないのを見て、頬に添えてる手のひらに力を入れて私の顔を寄せる。拒否する理由はなかった。別に恋情もなければ敬愛もない。ただの私の上司。そして、飼い主。何かを必要に考えなくてもお互いがお互いの行動と考えを読み取れる存在。ただ、それだけ。
ヌルと彼の舌が入ってきた。想像通り、よりも上手いかもしれない。あまり経験のない私でさえ思う。くちゅりという音でさえも上品に思えるのは彼の雰囲気だろう。
私の口の中を蹂躙する彼の舌は気持ちが良かった。歯を軽くなぞり私の舌を絡めようとする彼の舌は、私の舌先に触れた
「ん、」
弱いところだからか自分が思う以上に甘い声が出た。
少し目を開いて仕舞えば、終わったと感じるほど彼の薄く開いた瞳がこちらを掴んできた。
キスの嵐がやんで顔が離れた。息が上がる。ワインのせいで頭が回らない。彼の口に残るタバコの味でクラクラする。彼は立ち上がり私との距離を詰める。私はそれとにもなって一歩下がった。ローテーブルが邪魔だと言うように彼は靴のままテーブルに登り私との距離を詰める。下がった私は後ろの椅子に転けそうになるが、体幹で元に戻したのに彼はテーブルを超えてこちら側に来た。流石に下がれないが場所もない私は椅子に今度こそ倒れそうになった。
彼は知っていたかのように私の身体を両手で支えた。腰を包む片腕はしっかりしていて倒れかかったのにびくともしない。片方の手で私の頭を撫でそのまま頭を固定してきた。ああ、本当に逃げれられないなと彼の眼を見て思った
鷹のような目で私を見つめながらキスをしてくる。舌先は私の弱いところを執念深くついてくる。自分の口から出る甘い声。吐息。ヨダレの音。ただ、吐息は自分のものだけではないことに気づいた。私よりも背が随分と高い彼。胸板を押したところでどうにもならなかった。
身体に小さい電流がピリリリと流れた。私の恥骨に当たるソレは服越しでもわかるほどに膨らんでいた。腰に添えられる腕は私の腰を引かせてはくれない。頭のホールドも離してはくれない。キスは激しいのに揺れる腰は緩やかだ。一度も寝たこともないのになぜ私の弱いところがわかるのか。私でさえわからないのになぜわかるのか。
私の訴えてる眼を見て、口をやっと離す。軽く笑って
「君のことは、わかるんだよ」
なんて鷹の目つきで言われたら、身体はもっとビクビクと揺れた
「君もわかるだろう」
私の首元に顔を近づけ、耳を犯してくる。
彼が言っている意味がわかってしまうのが、また見抜かれてるようで身体が一層熱くなった。
彼のコレをどう扱ったら1番気持ちがいいのか。やり方まで探らなくても身体が熱くなる場所も、触り方も、強さも、なんとなくわかっていた。
軽く彼に抱き抱えられては、ダブルくらいの仮眠用ベッドに放り投げられる。
ネクタイを取る彼。それを真似する私。彼がシャツを脱げば私も脱いで。彼が下着だけになったから私もそうした。酒のせいか頭が回らない。ぼうっと彼の動きを真似する。視界がぼやける。彼の鷹の眼も褐色の肌も、質感も、体温も、全てわかるのに、何がぼやけている。彼はワインに何か混ぜたのではないかと思うほどに彼の全てが私の熱だった。
ベットで私に軽く覆い被さる彼。さっきよりもねっとりと熱い口付けをして、舌先をノックしてくる。従順な私は口を開ければ、蛇のような舌先が私の弱いところにあたる。
「ふぇ、あ」
ダメとも言わせないその姿勢に私はもっと酔いが回る。この人は酔ってない。私も記憶がなくなるほど酔ってない。だが、このキスにアルコールが含まれてないのは信じ難いことだった。
顔を少し離して私の顔を見る。獲物をとらえたキツい眼なのにどこか満足そうな楽しそうな顔。
頬を抑えてた手を私のブラに移す。
ブラの上から胸を揉む。その指先に媚薬でも塗ってあるんじゃないかと思うほど身体がビクビクとズレる。彼は私の反応を見て背に手を回した。少し背骨を沿って腕の進入を許す。背中でホックが外されたのを感じた。彼が私のブラを取る。キレイだ。と顔で話してくる。それだけでまた酔いが回る。彼のさくらんぼのような色をした舌先が私のトップにふれる。コレばかりは我慢できないと背筋が唸る。口を押さえて自分の恥ずかしい声を聞かないようにする。でも、無意味のように彼の耳には私の甘く漏れた吐息がこだましているのだ。
舌先でチロチロと舐める。そのいじらしさに腰が揺れる。彼はその反応を見て、口に含んだ。声にならない声が私の身体に響いた。歯で甘噛みされたソレは自分でもわかるくらい熱を持った。
その反応を見て彼は反対のを指先でつねった。身体に電流が一瞬流れる。のけぞる背を見て、彼はニヤリと笑ったのが雰囲気で読み取れた。
もうそれ以上の刺激を与えないでほしいと思うと同時にもっと深いものが欲しいとこんがらがった頭で思う。酔いか、彼の強いタバコか、この刺激か。どれでもなくて全てだろう。
身体が熱くてしょうがない。彼のものに触れたくてしょうがない。私が何を思ってるいるのかわかっているのに彼は私に余裕など与えなかった。
反対側を柔らかい唇に含ませてチュウと吸う。歯で噛み合う。その時、ビクンと身体が大きく揺れた。いつの間にかパンツは消えて守るものがなくなっていた。無防備にされたソコに彼のしなやかな細い長い指が私の中に入ってきた。指の付け根まで入れては、少し抜いてまた差し込む。口は可愛らしいのに手はねっとりとしていて、そのアンバランスがまた身体をくねらせた。彼の指がどんどん早くなる。
声が漏れないように唇を噛み締める。もう無理と両腕で顔を覆う。声が漏れたところで問題もないのに、なぜが彼に届いては行けない気がした。届いてしまったら終わる気がしたのだ。
酔いが回る、頭が使えない。私の下半身から水の音がして恥ずかしくてたまらない。今までにいた恋人には何も思わなかったのに、彼には聞かせたくなかった。
「気持ちいいかい」
また耳元で心地の良い音を出す。その低さが身体にこだまして膣がキュウと閉まった気がした。ソレを感じ取れているのに、私の返事をずっと待つ。胸をいじめるのやめて私の顔を見る。目線でいじめる彼の顔はどこか嬉しそうで、負けん気を出していた。だから、執着が大きい人と思っていたんだよ。
うなづいているのに声を出さない限り許さないとしつこく私の中をいじめる彼。
「い、いいです。すごく、すごくいい、いいです」
声を出すのに必死な私を見て満足したのか、キスをしてきた。それだけでも感度が上がるのに。ソレをわかってて、指を2本に増やした。広げられたソコにまた電流が走る。
「この音がわかるだろう?」
「ここだろ」
聞きたくもない私の音に集中させた時、頭の先まで白い電流が走った。腰が浮く。足先が痺れる。声が止まらない
「だ、ダメです、そこは。だめ、だめ、イきます。イきますから!」
彼の固い二の腕を掴む。ああ、ダメだ。本当にダメだ。そう思った時、白い電流が外に向かって勢いよく放出された。恥ずかしいほどの大きな甲高い声。彼は満足そうなでも足りなさそうな顔をする。何も考えられないのに、自分の次にしたいことがわかる。我慢できない。
彼は本当にお見通しで、指を抜くと少し私から離れた。電流が止み始めて気づいた。彼の顔には余裕がない。ワインの時よりも赤い頬。薄ら赤い耳。鼻から漏れる息。とろけてる眼。だが、鷹の瞳は健在だった。
少し彼を押し倒す。といっても誘導されてるのはわかってた。今度は彼がベットに座り受け身になる。身体を動かすと同時に彼の下着も脱がす。
筋トレを欠かしていない彼の見事なエイトパックに芸術性を感じながら、彼のを見る。
立派に反りたつソレは赤く生々しく膨れていた。グロテスクにも思えるほど血管が脈立ってて、私のことで興奮しているのだと思うと彼のことを支配したくなった。
股関節にある筋を指先でなぞる。出っ張っている骨がビクっと動く。彼の顔を見る。見たことない顔だ。頬を赤く染めて息が荒い。苦しそうなのに、瞳は恐ろしいほど光っていた。
ふわりと手のひらで包んでみる。少し触れただけでもわかる硬さと熱さ。血の流れが手のひらに伝わってくるのを感じる。先っぽに人差し指を置く。ツンとすれば彼の口からいやらしい小声が漏れる。私の眼を見ている。私の顔が彼の瞳に映る。とろけそうな顔の彼を見て、愛おしく感じる。自分の息が荒いことに気づいた。
勢いに任せて彼にキスをする。今度は自分から舌を入れる。先程より受け身な彼。好きにやってごらんと見守るように、気持ちよくしろと命令を出しているような態度がまた彼らしい。
手のひらを少し下げ、ソレを優しく、されど手のひらいっぱいで掴む。上下に優しく動かす。彼の鼻息が漏れる。シタが熱い。
興奮してもっと硬くなるソレに、我慢できなくて少し早める。初めてなのに、彼のコレは何を欲しがってるかわかったし、私もそうしたかった。
ぷはっと口を離して顔を見る。私のとろけた顔を見つめてくる。私は目線を下にして彼の腹筋に顔を埋めた。鎖骨下、鳩尾、丹田、とやさしくキスをしてソレを舌先で軽く舐めた。彼の腰が浮く。その余裕のなさを見ながら手に持っているモノを口に含んだ。彼のモノが口で少し暴れた。味など感じないが、こうすることをお互いに待ち望んでいた気もする。吸いつき方も、舌の使い方も、舐め方も、全てわかっている。彼が我慢できなくなってきたのか声を漏らしながら、私の後頭部に手を添えて髪の毛をくしゃりと掴んだ。痛くはない。頭を抑えるに気持ちよくなっているのだとわかる。それが嬉しくて、つい吸いつきを強めてしまった。
「ウっ、」
喉仏が動いた音がした。彼はやんわりと私の頭に添えた手を前に持っていき頬を撫でる。手の侵入でソレを口から離した。ああ、そんな顔もできるのですね。ご主人。
私で興奮したと思うと、自分の身体が熱でウネってしょうがない。膣が溶けてしまいそうだ。軽い感想を思えたのもそこまでで。彼の目つきが変わった。ああ、終わった。そう思ったと同時に身体はベットに押し倒され彼の上半身が丸見えだった。
ピトッと私のにソレを触れる。それだけでソコが溶けてしまいそうなのを感じ、身体が反って声が出る。ソレを外からなん度も擦ってくる。女性の敏感なところにそんなモノを当てては我慢できない
「俺の方が気持ちがいいと思ったが、君の方が感じていたようだね」
俺という一人称に変化した彼は、もう私には止められなかった。恥ずかしい言葉を並べては耳から私の全てを犯してくる。
彼は上半身を伸ばすとどうしてソコにあるのか聞きたくなるゴムを取り出そうとしているが、そんなモノどうでも良かった。快楽に身を任せているわけではないが、彼には任せてしまいたかった。彼もそれを読み取っている。ゴムを探すのに少し手間取っている。きっと使ってないから奥の方にしまわれてて取れないのだろう。ベット横の棚の形を思い出すに中身はメガネとか、本とか、充電器とかそんなモノが入ってた気がする。
冷静になり始めたのと、熱が良くないところで留まり始めたのを感じて、探している腕を掴んだ。
彼はこちらをゆっくりと見た。彼も同じ気持ちだ。彼はその掴まれた腕を私の頬に添えた。
眼を閉じてキスをする。ああ、これだけで気持ちいい。
彼のモノが熱を発しながら中に入る。グプと効果音がつきそうなほど溶けた私のと大きいソレは相性が良かった。
鬼頭だけ入ったのに、身体が空に浮いた。身体が熱い。溶けてしまう。本当にそう思った。咄嗟に口に手を当てて叫んでしまうのを抑えた。彼の表情はわからない。見る余裕もない。
「お、大きすぎます。入らないです」
中を虐めないでくれと声をかければ
「でも、これが欲しいんだろう」
また低音が鼓膜に響く。彼の顔をチラリと見れば余裕がなさそうな顔をしていた。キツい。その一言が彼の口から漏れる。
「力を抜いてくれないか。君のが吸いつきすぎて、中に進めない」
私の腰を手のひらで掴んで自分のを推し進めてくる。力を抜けと言われても、入ってしまうものはしょうがない。久しぶりなんだ。許してくれよ。そもそもあなたのものが良すぎるのが問題だ。
「フぅ、ほら、全部、中に入ったよ」
膣の感触でわかる。彼のモノが深く全て入ってきているのを感じる。私の中はギチギチで隙間がないから動かないで欲しい。でも、動かないだけでも、腰がガクガクする、頭にパチパチと電流が見える。ググと彼の腰が少し動いた。私の皮膚と彼の皮膚がぶつかる。彼の根元が擦れた時
「んっ、ああ!」
頭が白くなった。中が燃えるように熱い。ジンジンする。口を押さえてたのに我慢ができなかった。
「入ってるだけでイッたのか」
口調が砕けてきてる彼の言葉が耳にスッと入ってくる。
「じゃあ、動いてあげるね」
ああ、だめだ。動かないでとまだイッたばかりだと止めようとしたら、彼が私に覆い被さってきた。密着が近いほど皮膚の体温と感触が伝わってきて、それだけで気持ちよくなれる。くっ付くことで彼のモノがもっと奥に入る。彼の腰がゆったり動く。ゆっくりなのに激しく思える彼の腰は気持ちいい以外の言葉が見つからなかった。
甘い声が止まらない。私に密着する彼の背に腕を回す。彼の腰が速くなる。
「あ、あ、だ、ダメです。だめです、イッちゃいます。イッちゃいますから!」
私の言葉も意味がなく
「いいよ、イきなよ」
低音が身体に響いて、頭がチカチカした。足は折っていたのに足先までピンと伸びている。足先にまで電流が流れ込んだような。気持ちいいよりも自分の中にできた波を外に押し出したような、そんな感覚が子宮に残った。
「気持ちよかった?」
見ればわかるだろと言いたかったが、そんな余裕はない。中イキなんて何年振りだろうか
私の顔を見て彼は満足そうな顔をする。その顔を涙をとめるのに必死な瞳で見る。
彼は私の顔を確認して、私をゆっくり起こさせてると優しく四つん這いに誘導した。彼が膝立ちになる。お酒は血液の中に入ると少量でも泥酔できるそうだ。血の巡りが速くなっている今、私のワインは血になったのではないかと思うほど頭がクラクラした。もう酔いは覚めてるはずなのに
いろんなことを考えていると、彼の大きな手が私の腰を捕まえて、自分のものをズプっと挿入してきた。
「[D:12316]っ!ふぁ、あ」
急に奥まで一気に入ってきたから、腰が反応してガクンと落ちた。が、彼はそれを見越してか広い手のひらでがっちりホールドして崩れないようにしてきた。彼の腰がゆっくり動く。中で彼のモノが蠢めく。私のお尻に彼の股関節が当たる。彼との距離がゼロであることを認識する。
私の甘い声を聞いてか、彼は調子よさそうに腰を早める。彼の先っぽが私の弱いところに当たる。甲高い声と鼻息。呼吸困難だ。頭がチカチカする。白い電球がたくさん見える。
「ここが、いいんだろうね」
わかってるだろと言いたかった。でも、そんな余裕を与えてくれなかった。彼は私の思っていることがわかっているはずだ。だから、知ってて聞くのだ。私のイイところを強く押す。擦る。触れる。
「あ、ア、ああ。い、いです。そこ、そこイイ」
「ふぁ、ア。ダ、ダメ。ダメダメダメ。い、イっちゃうから。イっちゃうから!」
私が叫べば叫ぶほど、彼の腰が速くなる。
彼の優しい手が私の頬に触れる。彼が前屈みになる。イイところに深く強く当たる。
「[D:12316]!ん[D:12316]っ!」
声が出そうなところを彼が唇で封じてきた。彼の舌が入る。首が捻じ曲がって苦しいのに、その苦しさも血流を上げるひと助けをしてた。
コリっと感触を感じれば、白い電球は発光して辺りが見えなくなった。声にならない声が響く。喉で音が鳴る。
ぷはと口を離す。彼の口元と私の唇から1本の細長い糸が出る。
「また、イッタのか?」
砕けた言葉に頷く暇もない。
「君は、気持ちがいいと口数が増えるね」
楽しそうに言う。頭がパンクしそうだから、整理しようとして言葉にしてしまう。それが恥ずかしくて嫌だった
「君のイイところを知れて、嬉しい」
彼は私の嫌な部分をさりげなく追い払ってくれる。くるりと回されて、腰が降りて彼と向き合う。膝立ちから少し腰を下ろし、踵にお尻をつけている。私は腰を少し浮かして、彼の膝に登る。彼がサポートしてくれる。彼の肩に腕を手を置いて少し掴む。彼が自分の手で支えているモノに腰を下ろす。
ぬぷと中に入ってくる。まっすぐ自分の奥に入ってきたソレは私の子宮を溶かす。自分の好きに腰を動かす。腰を上げ下げして自分の中で彼のものをいじる。
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