第2話

昨日会った水無月さんは綺麗な子だった。
あまり、彼女のことを知らないけどいい子そうだなと思った。

「雨なのに、テンション高いね」

「そう?」

「なにか、いいことあった?」

と友達に言われた。
そんなに、ワクワクしてたかな?わからないけど、それでも、雨なのにテンションは高いと思う。
あの静かな時間に目が冴えるような真っ赤な傘が印象的だった。
あの制服がどこの学校かわからないけど、雨の日にだけ会えるという特別感は嫌いじゃない。ワクワクして、早く学校終わらないかなって思う。
今日はなんの話しようかな。そういえば、今日持っているお菓子は好きかな。と新しい友達ができたことに私は、自分で思っている以上に気分が良かった。

「あら」

「こんにちは」

「走って来たの?」

「いや、速足。かな」

「バス、また遅延しているわよ?」

「いや、そうなんだけどね。もし、遅延してても水無月さんと会えなかったら意味ないから」

自分で言って恥ずかしくなった。
何を言ってるんだ。まるで昨日読んだ少女漫画の台詞みたいじゃないか。

「あら、嬉しいわ」

と水無月さんは微笑んだ。
そのことにホッと胸を下ろし。あの赤い傘が立て掛けられているベンチに腰を下ろした。
水無月さんは隣に座るとわかるが、横顔がとても綺麗な形をしている。鼻もしなやかで目もぱっちりしている。

「水無月さんって、ハーフ?」

「え?」

「え、いや。鼻が高いというか。髪の毛も少し茶色いし」

「ええ。ハーフじゃないけど。外国の血は入っているわよ。クォーターなの」

「そうなんだ。どこの国なの?」

「父方が、イタリアで。母方が、ロシアといってもアジア寄りなんだけどね」

「へえ」

「それで、母方のおじいちゃんが日本人なの」

「三種類?」

「まぁ、そうね」

「いいなあ。だから、水無月さんは美人なんだね」

「え?あ、そう?ありがとう」

私の言葉に顔を赤くして目線をコンクリートの地面に向け俯いてしまった。
照れると水無月さんは髪の毛を耳にかける癖がある。可愛いなあと思いながら、そういえばと

「水無月さん、お菓子好き?」

「ええ。お菓子は好きよ」

「じゃあ、これ。はい、あげるー」

「ありがとう」

カバンから取り出したのは、新作のチョコ。この前コンビニで買ってハマったものだ。
サクリとビスケットじゃない不思議な感覚の食べ応えがあるチョコだ。

「あら、美味しい」

「でしょ?これ、新作らしくて」

「へえ」

「イチゴ味とかあるんだよ!」

「まぁ、イチゴ味!」

「イチゴ好きなの?」

「ええ。好きよ」

「美味しいよね」

「ええ。イチゴのお菓子といえば」

やはり、女子はこうでなくては。お菓子の話だけで数分持つことができる。
あっという間に、バスがきた。

「水無月さんの傘。かわいいよね」

「そう?無地よ?」

「うん。でも、水無月さんに似合ってるよ」

「・・・ありがとう。時雨さんは褒め上手ね」

と言われて

「そう、かな」

「ええ。それに、時雨さんもミディアムショート似合ってるわよ」

と言われて

「あ、ありがとう」

と照れてしまった。
褒められるのは嬉しいが、どうも慣れない。顔に熱が集まるのがわかる。
バスの中には、私たちのほかにおばあちゃんが1人。主婦が2人いた。
私たちが会話していても、気にしていないようだ。

「今年は、雨が多いね」

「そうね」

「水無月さんは、髪の毛が綺麗なストレートだからいいね」

「でも、これ。アイロンしているのよ?」

「そうなんだ」

「ええ。雨だからね。ひどいものよ?朝なんて」

と笑った。
大変ね。と笑いあった。
しばらくすれば、古藤野内町についた。

「じゃあ」

「ええ。またね」

と言って別れた。
傘をさしながら歩いて、ふと連絡先くらい交換すればよかったと思った。
雨が上がってしまえばきっと、会えないから。
季節限定ものに弱いからか、雨限定の友達。にひどく心がワクワクした。

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