第4話
雨が降った。
今年は雨が降りすぎて田んぼとかで洪水している地域もあるらしいが、雨自体が強くないおかげか川などが溢れる心配はないそうだ。
その代わり水不足はないと思う。ああ、プールに行きたいな。と思いながら毎日見ている灰色の空から降る雨をみていた。
午前最後の授業だからか、腹の虫がうるさい。お腹すいたとお腹をさすったところで満たされることはなく。返って腹が鳴った。
「というわけで、ここにXをいれて・・・」
数学はあまり得意じゃない。
この前テストが終わったばかりだからかいまいちやる気が出ない。
腹が減りすぎて睡魔も来ない。しょうがないから、ノートに適当に落書きをした。
相変わらずジメジメとした日々が続く。
髪の毛はアホ毛がやりたい放題で、アイロンしても意味がない。起きる気力もない朝にアイロンを毎回するのは骨が折れるからもう、やめた。
そういえば、水無月さんはいつも毎朝アイロンをしているのだろうか。
「じゃあ、この問1を・・」
先生の言葉に意識をのんびりと戻してノートに問題を解いていく。
雨の中を走る車の音がする。ザァと音を立てながら走っていく。
今日の雨は激しい雨だ。いつもなら、優しい雨なのに。傘に当たる音がポツポツだったのに、今日はコツンコツンと音を立てる。
あの重い雨の音は好きだ。雨って感じだから。
やっと授業が終わって用具をしまって友達とお弁当を広げる。
「いやぁ。ハラヘッタ」
「それなー。腹の音ヤバかった」
とのんびりと会話をしながら食べていく。
口が悪いというか、毒をよく吐く友達は。腹減りすぎて弁当、クソうめぇ。なんて言ってる。
そういえば、水無月さんは言葉遣いが綺麗だったな。最近聞かない言葉を使って喋っていたな。
「そういえばさ」
「うん?」
「雨限定の友達の話ししたの覚えてる?」
「あー、うん。美人さんだっけ?」
「そうそう。あの子言葉遣いがめっちゃ綺麗なんだよ」
「へえ」
「あら。とかそんなことないわよ。とか」
「へえ。平安だ」
「いや、大正とかじゃない?」
「知らんがな」
「まぁ、いいんだけどさ。すごいなぁって」
「ヤベェな。私もしようかな」
「無理だわ〜」
教室の机もなんとなしに湿っていて教室もお風呂場みたいだった。
ただ、たまに吹く風が冷たくて気持ちよかった。
帰り道、今日は会えるかなと思えば赤い傘がなかった。
私の方が早かったか。とベンチに座りながらイヤホンを耳に入れた。
いつも水無月さんがいたから変な気分だった。相変わらず、灰色の空に襲われている街を見ながらガードレールの向こうにある木々が妙に映えているように思えた。
その日、水無月さんには会えなかった。