暑い夏はやはり冷たいものでなんとかするべきだと思う。例えば、アイスとか。プールとか、あと、風物詩でなんとかするとか。そう、それこそ

「まだあるから沢山お食べ」

おばあちゃんは微笑みながらカットされたスイカをお盆いっぱいにくれた。

「ありがとうね、おばあちゃん」

お盆はわりと早く終わった気がする。母方の祖父母も元気で安心した。一人っ子の私に両家の祖父母は甘やかしてくれる。とくに、父方の祖父母は。
父が一人っ子だから、孫が私しかいない。だからか、甘やかしてくれる。私はそれを甘えて受け入れる。

「学校はどう?」

「ええ。楽しいわよ。この前ね、海に行ったの」

「海?」

「ええ、友人と。自転車で」

自転車で?!とおばあちゃんは驚いていた。私はその驚きぶりを待ってましたとおばあちゃんに凪の話をした。

「まあ、楽しそうね」

「楽しいのよ。その子、いろんなことを思いついては実行するの。色々驚かされるわ」

「でも、そんないい友達がいてよかったわ。おばあちゃん安心」

「え?」

私がおばあちゃんに聞けばおばあちゃんは困ったようなしかし、優しく見守るような笑みを浮かべた。

「実はね、おばあちゃんたち不安だったのよ。すみちゃん、いい子だから。いつも一人だったでしょ?少しは遅く帰って来てもいいし、友達と遊んで帰って来てもいいのに、いつもそのまま帰って来たりしてたでしょ?だからね、大丈夫かしらって」

内緒ね?とおばあちゃんは笑った。
私はそれを聞いてなぜか安心した。そうか、私、今普通なんだ。つまらない人じゃないんだ。と

「凪のおかげね」

「友達は大切にしないといけないぞ」

おばあちゃんと話してるとおじいちゃんが私の隣に座った、

「見守るのも、時には叱るのも、友達としての大切なことだ」

そういうとおじいちゃんは、スイカをパクリと食べた。
ほら、食べなとおじいちゃんがスイカを空いている手で差し出してくれた。

「ありがとう」

スイカは美味しかった。甘くて水々しくてさっぱりしていた。タネを取るのは少しめんどくさかったが、大きくなって今ではそれほど困らない。緑と深緑の縦縞に映える赤の先っぽは少し氷のように見えた。
凪は今頃何してるんだろう。ラインをお互いにしないというか、凪は未だにガラケーだと言っていた。メールよりも電話派だと言っていた。用件を伝えるだけだからと。
蝉が鳴く、楽しそうに。自分の住んでいる街とは違って蝉の音が素敵に聞こえる。
凪にこの事を伝えよう、田舎は蝉の声が素敵に聞こえるのだと。
スイカをパクリと食べる。相変わらず、おばあちゃん家のスイカは美味しかった。

「あまり食べ過ぎだら、夕飯はいらないよ」

おばあちゃんに注意されて、私は大丈夫よと伝える。楽しい温かいこの空間に包まれた時、私はもう、凪のことを忘れていた。


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