暑い日が続く。毎日学校に通いテストを受けたり補修があったり、夏休みはないと思うくらいだった。
進学組でもないのに、凪はいつも学校に来ていた。

「毎日毎日、大変ね。勉強なんかしなくても問題ないでしょ?」

私がそう聞けば、凪は

「別に?家にいても暇さ。それにクーラーの電気代も学校に来てたら浮くからね」

と言った。

「クーラーの電気代も浮くって、あなた。1人で暮らしているの?」

「さあ?」

「またはぐらかした。まったく、貴女は読めないわね」

「澄乃はわかりやすいね」

ふふふ。と笑った彼女を少し横目で睨んだ。

「ほら」

と神社の鳥居から見える街から私に顔を向けた。
いつも来るようになったここの神社。
社がある神社の屋根の下は風が割と冷たい。なるほど、どうりで猫が多いわけだと思った。
嫌に青い空はとても高い。私は夏が好きじゃない。暑いし、ベタベタするし。その代わり、冬は好きだ。寒いが暖かくすれば動けるし、美味しいものも多いし、なによりも幸せになる方法が多い。

「夏って、なんか寂しく思えるよね」

ポツリとそういうと凪は

「そう?まぁ、寂しさというよりも儚さとかあるよね。白が多いからかな」

「白?ああ、雲」

空には大きな雲があった。
蝉がうるさく鳴いている。ぼうっと脳みそが停止しているのがわかるほど、私は動いてなかった。

「夏は、やる気というか。どうも時間が止まっているように思えるわよね」

「そうだね。なんだかね」

「プールに行きたいけど、行く暇がないわ」

「あるよ」

え?と凪を見れば楽しそうに笑って

「あるよ」

再度言った。

「なに、家にプールでもあるの?」

「ないよ。そんなの」

「じゃあ、どこに?」

「割と身近にあるよ。まだ、入れないけど」

「期間限定の何か?」

「いいや、ナイトプールにもなるし昼にでも朝にでも入れるようになるんだよ」

凪の考えていることはよくわからなかったが、それでも楽しそうなことなら。まぁ、いいやと済ましてしまう。

「期間限定のプールなのかわからないけど、行けたらいいわね」

「行けるさ。誘うから来てよ」

凪は楽しそうに笑う。なんど羨ましいと思ったことか。その笑み。
楽しそうなことを思いついては実行して、問題にもならない。なにか悪いことをしている気がするが楽しいので気がするだけだと思考を停止してしまう。
割と本当に悪いことって、凪みたいなことを言うのかもしれない。黒よりも白の方が悪いのかもしれない。
本当のオズの魔法使いというのは、白い魔女が黒い魔女に噂話を流しそこから黒い魔女が悪さをする話だったような気がする。
その笑みが羨ましいと思うと同時になにか、凪には隠していることがあるのではないかと思うようになった。心の闇とはいかないが。なにかを。
それでも、暑さのせいなのか。私はその楽しそうな笑みを見て複雑に思っていた感情も思考も停止してしまうのだ。


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