朝
甲板にはドフラミンゴとピーカ、モネが乗っていた
ドフラミンゴは久しぶりに相棒に会えることを楽しみにしていた。
二代目コラソンとしての右腕、海軍に潜入し。今じゃG-5の基地長だ
パンクハザード。青雉と赤犬が大喧嘩し捨てられた地図から消した島。中央に湖があり半々で吹雪く冬島と炎があがる炎の大地。元世界政府の実験施設として運用されていたからか、同盟相手のシーザーも場所を気に入ったようだ。
マスターと囚人どもに崇められ、楽に実験台を確保できる
俺はここでスマイルという人造悪魔の実を造らせそれを取引相手に四皇のひとり、百獣のカイドウを選んだ。
全てうまく行ってる。気分がいい
程なくして、船は港がある方面。冬島に近づいてきたのか雲が分厚くなり一切の光を絶えてしまった。雪がちらちらと降る。流石に寒くなってきた
「若様、前を閉めたら?」
分厚いメガネを額に乗せながらモネがしゃべる。息が白い
「ああ」
生返事を返し海を見つめる。雲のせいか海の色も深く暗い。船が程なく港に着くと航海士から伝達される。返事をし指示を出す。少し忙しなくなる甲板を見ながら、ふと白い頭が見えないことに気づく
ドフラミンゴの視線に気づいたのか、モネが指をさす
「彼女なら、そこよ」
指した先を見れば、いつものスーツではなく暖かそうなネイビーのロングコートを着ている。
白が見当たらなかったのはフードをかぶっているから。裾と袖口、フードを形取るようにモコモコと飾りがついてる
自分から対極にいる彼女の元になんとなく足を運ぶ。ドフラミンゴに気付き宝石がこちらを除く。
光が全くないここではマリンブルー。意外に深い色だ
「若様」
白い髪に真っ赤な鼻先と頬。白い睫毛が震える
「雪は初めてか?」
「いえ、向こうでもありました。外に出ることはありませんでしたが」
「そうなのか?」
「雪は光が届きません。雪が積もりそうなら午前中に買い込み、仕事を終えます。国中がお休みになります」
「なるほど」
「次の日晴れれば雪に光が反射しますから、みんなが1番好きな時です」
思い出し嬉しそうに微笑む。宝石がゆったり揺れる。白い睫毛が上下する。笑う口に反して瞳は暗い
「もうすぐ船がつく。降りる用意をしろ」
「はい」
「シーザーもヴェルゴに会うのも初めてね」
宝石が黄緑を見つける
「はい。楽しみです」
「シーザーはきっとあなたを気にいるわ。彼、科学者だから」
モネの言葉に少し嫌そうな顔
「止めてくださいね」
苦い顔をするのに対して、モネは微笑む
着岸!!とクルーが叫ぶ。そちらの方に顔を向け、足場に向かう
「ドフィ」
入り口で出迎えくれたのは、相棒。久しぶりに見る顔に笑みが深まる
「フッフッフッ!久しいなぁ、相棒」
「ああ、元気そうだな」
「今朝はハンバーグか。相変わらずだな」
「ん?なぜ俺がハンバーグを食べたことがわかるんだ?」
ドフラミンゴは笑いながらヴェルゴの頬を指さす。ヴェルゴは自分の頬に触れハンバーグがついていることに気付き、かけらを食べる
「久しぶりね」
モネが挨拶すると、ヴェルゴは短く返事をした。ピーカは発しなかったがヴェルゴは分かっていると頷き無言の挨拶をした
ふとピーカの身体の大きさで気づかなかった背の低いものが見える。少し覗くとドフラミンゴが気付き彼女を手で呼ぶ。
それに応じドフラミンゴの隣に立った。フードであまり容姿が見えないが、暗いからこそ宝石眼が映えた
「初めまして、ヴェルゴ様」
深く綺麗なお辞儀をする。礼儀の通ってるやつは嫌いじゃない。ドフラミンゴが自慢そうな顔をしているのも横目で見た。
定期連絡で面白いやつを拾ったとは聞いていたし、その容姿も異界人のことも知っていた。仕事の内容もみんなからの評価も知っていた。だが、初めて見ると瞳の異様さには少し固まる
「ああ。よろしく頼む」
ドフラミンゴの秘書として、モネの後任だと聞いた時には。さすがに警戒した
だが、会ってみて。あまりに小さい身体に警戒する方が馬鹿げているのではないかと思えてくる。人も殴ったことがなさそうな手の甲。覇気にブツかれば死んでしまうと思うほどの細さ。
寒いからと中へヴェルゴに案内され応接間のようなところに着く。
そこに煙が立ち人型になる
「シーザー」
「シャロロロ、久しいな。ジョーカー」
闇の名で呼ぶ。少し会話をしていると、ふとネイビーのフードに目がいく
「ん?なんだ、こいつは?」
シーザーの声に反応して、フードを下げる
白い髪が揺れる。瞳はまだ暗い
「初めまして。シーザー様」
異様な形。異様な色。異なりすぎるものシーザーは楽しそうに笑う
「なんだ、お前。どこの種族だ」
「こちらの世界の住民ではありません。異世界人です」
ふっと笑い答える。興味が湧いたのか次々と質問する
「その瞳は?」
「宝石ような形と色をしている。ただの眼球です。向こうでは宝石族と言われてましたが、ここへくる前。国は滅び実験体として生きてました」
「異世界ダァ?!そんな非科学的なものがあるか」
「嘘ではなく、私がいることが全てです。ちなみにシーザー様なようなお姿や若様やベビー5のような摩訶不思議な変身は私にとって異界そのものです」
「なんだ、能力者でもないのか」
「いえ、食べました。トケトケの実です」
「それで?お前の仕事は?」
「モネ様の後任の秘書です」
「ふん、異世界人が秘書とは」
「生きているからこその価値。置物にしても動いているか人形かで保有の意味も声も変わる」
「シュラロロロ・・面白いこと言いやがる。だが、ジョーカーはお前のことなんざ守らないだろう」
「私を守ることが雇用主の仕事。若様の生活を整えるのが私の仕事です」
「うまいこと言いやがる」
「光栄です」
一礼すると会話が自然と止まりシーザーがドフラミンゴをみる。楽しそうな笑みだ
「フフフフフッ・・いい拾い物だろう」
ドフラミンゴの言葉にシーザーは鼻を鳴らす
「どうせなら俺にくれればよかったものを」
彼女をーーというよりも瞳だけを見ながら話す姿にモネが笑う
「食べちゃダメよ。彼女、ケガしたら治らないんだから」
「なんだぁ?ケガが治らないのか」
「血が違うのです」
スッキリした声に目線を変える
「私の血は赤ではなく、黒。型とかではなく全くの別物です」
ふんわりと笑う。白い睫毛が揺れる。依然鼻先と頬は紅い
「知ってるぞ!オークションにいくらかで出たな。異界人の血なんていうから大嘘だと思っていたが。本当だったとは」
興奮しているシーザーに驚く様子もない。解体しそうになっている雰囲気と目線。まるで獲物だ。
彼女は何も気にしてない。その清々しい姿にヴェルゴは少し身構える
「やめておけ、シーザー。こいつを守るのが俺の役目だ」
片手を彼女の前に出し制する。サックスブルーがドフラミンゴをみる
「なんだ、ジョーカー。そんな小娘1人」
シーザーのセリフにモネは笑い
「彼女・・152歳よ」
突飛な数にヴェルゴも驚き彼女を見る。照れたような顔をする
「こちらの時間の流れも情勢、ワードも知りませんが」
ふふっと笑う彼女。納得いかないと腕を組んだヴェルゴをドフラミンゴが笑った
昼
午後からもっと吹雪ということで、昼ごはん前に外に出て外の現状を把握する
モネはここに住むようになるので地理は大切と地図を開き何の施設があるか、その施設がなにか細かく書いてる
シーザーの案内声をBGMにドフラミンゴは雪を踏む。流石に中のシャツを冬用のインナーに変えいつものファーに今回は袖を通した。真ん中の湖に近づく。向こう岸には炎が炎々と背を高くしている
向こうの炎をエネルギーにこちらの電力や様々な用途に使うのだとシーザーは自分が開発したエネルギー転換施設について轟々と話す
聞いてみればここは湖ではなく、海だそうで。島に穴が空いている。ということになる
さすが大将。その衝突のデカさを物語っている
腰を少し屈め水を見てみる。魚は泳いでなさそうだが、冷たいのだろうか。変わらない背景にシーザーの説明が少し飽きてきたドフラミンゴは足で水を弾かせた
「たまに魚がいる」
ヴェルゴがドフラミンゴに話しかける。飽きているのがわかるのだろう。さすが相棒だ
「たまに迷い込むんだ」
「食べるのか?」
「食べれるとは思うが、入ってまで食べたいとは思わない」
「だろうな」
今はいないのかもう少しと覗いてみるが、やはり何もいなかった。ヴェルゴがいうには、底の方に亀裂が大きくありそこから海水が湧き出ているらしい。だから、魚程度なら入れる
ドフラミンゴが覗いているのに気づいた一行は雪が降る中水を覗く。見るのを飽きたドフラミンゴが背を直し歩き出した。ドフラミンゴは身体が大きいので隣のモネやヴェルゴは少し体を逸らす。そうなると1番小さいものは大きく逸らすか足を動かして退く必要がある。しかし、ここずっと朝からの曇り。光は一切ない。暗い中だと視界が悪い。そうなると
「あっ」
慣れない雪に脚を滑らせ、トポンと音を出した
ネイビーが落ちた
異界人ということで忘れがちだったし、亀裂だからと浅いと思っていたからこそ手を出すのが遅れた
「カシュッ」
ザバァと音を立てて下っ端が彼女を引き上げる
白い髪と同じくらいの白い肌。先ほどの赤さは消えて青白い唇になっていた
急いで冷たく重いコートを脱がせ、胸骨圧迫。水を出して息を戻す。繰り返している時。ドフラミンゴは鳥目の話と悪魔の実のことをすっかり忘れていたのを今思い出した。なかなか水を吐かない彼女を見て
「異界人が悪魔の実を食べて起こるリスクの差って同じなのかしら」
つぶやいた言葉に、なぜか心臓の芯が冷えた。しかしその時、カポっと音が鳴りそうな噴水を口から出し息をし始める。
「おい」
ヴェルゴが屈み頬を軽く叩く。それでも力が強いのか彼女は白い眉を顰めた。返事ができそうにはない。急いで施設に、戻り暖かい場所が先ほどの応接間であるためそこにあるソファにひとまず寝かす
モネは部下に彼女の荷物を持って来させ、受け取ると人払いし服を着替えさせた。
ドフラミンゴたちが部屋に戻ると彼女のコートが乾かしてあるのと、ソファに座る白い頭が見えた。両手のカップからは湯気が立っている
「気分は?」
ドフラミンゴの言葉に彼女は反応した
「あまり・・お手数をおかけし申し訳ありません」
いつも以上に深く、そして元気のない声がする。表情は見えないが苦しい顔しているのはわかる
「ああ・・気にするな」
白い髪は揺れない。宝石が今何色なのか知りたい
「お前の弱点を知っていて、すぐに動かなかった俺の落ち度だ」
生きているからこその価値。を別の意味で思い知った。モネの言ったリスクの違い。そこも考えてなかった。さほど深くはなさそうだったが、能力者には水自体が弱点。そして能力者になってきっと初めての溺れ。気にしなかった雇用主の失態だとドフラミンゴの言葉は彼女には響かなかった。少し静粛が伸びる。その時
「おれが後ろを確認しなかった・・」
ん?とドフラミンゴが眉を寄せる。ピーカが話したのだ。自分の声が嫌いだと話さず目だけで会話をすることが多いピーカ。しかも表情も変わらない。
ピーカの声を初めて聞いたであろう、シーザーだけが「あん?今のはお前の声か?」と呟いたがドフラミンゴの覇気を感じ黙る。さほどピーカの声に興味もなさそうだ
ピーカの声を聞き、顔を上げた彼女。やはり苦しそうな顔をしていた
無言で見つめ合う2人。ここで彼女の言葉で今後の生死が役割が変わる。少し唾を飲んだのはモネ
「・・初めて声を聞きました」
彼女はそういうとふっと柔らかく笑う
「声を聞くことができて光栄です」
先ほどの苦しい顔は消え、初めて信頼をもらえた従者の顔をする
ピーカは何も言わない。が雰囲気が柔らかい
「フフフっ・・朝から陽を浴びさせてなかったな。すまない。明日まで持つか?」
「申し訳ありませんが、持ちそうにないのです。ただ、施設に光があればそれを反射させて凌ぐことはできます」
モネがそっと彼女の肩に手を添えた。
「今日は2人との顔合わせのために呼んだの・・帰るまで自由でいいわ」
陽が一切当たらないこの地では彼女はうまく動けまい。可愛い後輩を気遣うモネ
「ああ。好きにしろ」
突っぱねる訳でもなく、むしろ気遣う。雇用主として上司としての心配に
「すみませんが、そうさせていただきます」
白い髪を揺らす。水を含み重くなった髪をドフラミンゴの指が触れる
「気にするな。お前を守るのが仕事だ。整うは城でいい」
ドフラミンゴの言葉に彼女か笑う
「結んでも?」
「ああ・・結べるのか?」
「はい。優しさで」
彼女の言葉にドフラミンゴの指がとまる。いつもの笑い方のあと
「そうか・・なら結べ」
「はい。結びました」
日光が無いここで光る瞳はアクアマリン。
ヴェルゴは相棒の新たなる秘書を密かに迎え入れた