口に挟んだ葉巻を一旦抜いて紫煙を出しながらため息をつけば、目の前に正座する道化は冷や汗を滝のように流した。もう一度そのまま口に入れて吸うと同時にソファの背もたれにもたれる。
「で?なにか、言い訳は?」
俺の呟きに大袈裟に肩を揺らして目線を下で揺らしてる。ほんと、こいつが四皇とは。飛んだ笑い話だ。道化にも程があるだろ。
「この砂時計が終わるまでに用意しろ」
サイドテーブルにある砂時計をひっくり返して、時間を進めた。道化は何か言いたそうにしていたが、俺が睨めばすぐにと叫んで飛んで行った。
「バギー。靴を忘れてるよ」
道化の行動範囲を決める足元を持ち上げて追いかける女。ほっときゃいいのに。バギーは女から靴を引ったくって急いで飛んで行った。女は道化の動きにイラつきもせず、ため息をついて戻ってくる。
「困りますね」
ため息をつきながらダズの隣に立つが、すぐどっかいく。定位置を無視してワインボトルを片手にトーションを腕に添える。無言で鷹の目にワインを注いで軽く会釈してボトルを戻す。それも、ほっときゃいいだろ。あいつの連れがやるよ。弱そうな、なんで一緒にいるかわからない女がもう1人いるだろ。無言で葉巻を吸っていれば、差し出されるのは新しい灰皿。吸い殻が溜まった灰皿と交換してくれたらしい。気が利くのはいいことだ。
「バギー。うまいことできるでしょうか」
「しらねぇよ」
あいつがちゃんとやるかなんて今更気にしてない。どうせ予想外な方向に行くんだろ。いつもそうじゃねぇか。大方、持ち上げられた部下たちが勝手なことして焦り倒すんだろ。横に座る鷹の目を見たら、用を済ませて戻ってきた連れの女と話をしてた。
俺がひっくり返した砂時計を見つめながら定位置に戻る。止まってるのが苦手なのかどっかに歩いて行ったっきりなかなか帰ってこない。別に何してても気にしないが、一応上司である俺にくらい報告しろ。戦えないんだから。
鷹の目と適当に会話を繋ぎながら、俺の数がうまく回るよう確認する。ダズが繋いでる電話に代わりながら仕事も恙無く進んでることを確認。そうか、明日の荷物で届くか。早かったな。
どっかの鳥野郎が没落したせいで武器の手配が少し面倒だ。入る隙間ができた分動くことが多いから面倒なのは間違いない。あの鳥野郎に飼われてた郵便鳥は何やってるんだろうな。ファミリー扱いかどうかも知らねえ。今頃、インペルダウンか。輸送される前に食っちまえばよかったな。
「ボス。今、よくないこと考えてた?」
いつのまにか戻ってきてた女が俺の目の前に立っている。さっきまでは吸ってなかった白いバニラの香りがするタバコを口に挟んでる。
「なんだ。嫉妬か」
「女の勘です」
テキトーな事言いやがって。何してたんだと目線で訴えても答えずに、今度は仲良くなった鷹の目の連れと仲良くハイテーブルで会話してる。夕飯の話でもしてんのか
砂時計がもう少しで終わるというころ、道化がすっ飛んできて。腕に抱えた荷物とは別に自分の足を地面に落とした。
「間に合った、だろ!!」
汗まみれで切羽詰まって、コンチクショーと叫ぶ。こいつはいつになったら大人しくなるんだ。ダズに首で合図を出すと確認に動く。あってますと頷くのを見て紫煙を道化な向かって飛ばす。よくもまあ、ご希望通りにできたもんだ。いつも失敗ばかりしてんのにな。やればできるなら最初からやれと睨んでやった時。安堵を出す道化のナナメ奥のハイテーブルで仲良く会話してたうちの女がバニラの香りを出しながら笑ってるのを見つける。
うちのに手伝ってもらったのか。お前も手伝うんじゃねえよと睨んでやれば、俺の視線とかち合ってやんわりと笑わられる。タバコを八重歯で噛みながら笑う。なんだ、お仕置き希望か。悪い子の方が好みの俺にしてはいい塩梅で動いてくれたもんだ。ついでにご褒美してやるよ