名画にも満たない額縁


スンと鼻を鳴らしたらふわりといい香りがした。香りを頼りに近寄れば彼女の手元には黄色の粒みたいなお花。
「なんだっぺ?それは」
ルフィ先輩の背中とその周辺を警護する黄色の瞳をしたスナイパーの先輩は柔らかく微笑んでくれた。くぅ〜その素敵な笑みを向けてくれたっつーだけで、おらぁもう死んでもいいべ。
「金木犀だよ」
きっと花の名前だと思うが、知らない名前だ。鼻をもう一度鳴らせばいい香りがする。
「ふふ、気に入った?船に飾る?」
「えぇ!!花束をプレゼントしてくれるんですですか??かぁー!!おらぁ、なんつー幸せもんだべ!!」
「花束というよりも、枝みたいになっちゃったけど」
ロビン先輩とはまた違った種類の素敵な笑みに胸の鼓動は止まらない。先輩の黄色の瞳よりも赤みが強いその粒のついた枝を受け取る。はあー、いい匂いだべ。船に飾ればもっと素敵になるはず。植木鉢とかに生やしたらいいんかべ?
「今度会えたら、ちゃんとした花をあげるね」
そう呟きながら本を上から押し込む。何してるんだべ?とまた聞けば、ふふと笑って「押し花」と答えてくれる。栞を製作しているらしい。プラスチック版に花をちょうどよく置いてプラスチック版を重ねて上から押し込む。数日経てば花は押しつぶされて薄い板の中で咲いてるように見えるんだとか。ふぇーと声を漏らしたら、先輩はカバンをあさってこちらに長方形のものを差し出してくれる。
「前に作ったのならあるよ。よかったらどうぞー」
スナイパー用の指先が出てる皮のグローブから差し出される長方形のそれ。
「アルストロメリアって花をね、この前押し花にしたの。ちょっと枯れ始めちゃってるけど」
ちょっと申し訳なさそうに笑いながら渡してくれるそれを両手でしっかり受け取る。おらにプ、プレゼントなんて。もう死んでいいかもしれない。さっきの粒とは違って、白いけど葉っぱの緑が若干移ってるような長めの花。綺麗だべ。
「それね、黄緑に見えるでしょ?君にそっくりだなって思って」
まかさの先輩の言葉に、開いた口が塞がらない。俺のために?俺に似てるって、俺のためだけに選んでくれたってことか?花なんて全く興味ないが、先輩から貰ったこの押し花だけはなによりも美しく思えてあまりの歓喜に膝をついて空に掲げた。そんなに?と笑うがすごいことなんだと言葉にならない感謝の言葉を涙を滝のように流しながら頭の中で再生していれば
「それね、実はルフィがロビンと見つけてくれたの。綺麗だねって話してたらルフィが押し花にして欲しいって言ってくれて。
彼は本なんて読まないけど、作ってみたかったらしくて。彼は白じゃなくて濃いピンクの・・って聞いてる?」
また困ったように笑ってるのが伝わってくるが、それどころじゃない。かの大英雄のルフィ先輩が見つけて、色違いをおらにくれるなんて。しかも、それがおらに似てるからって。
止まらない涙を軽く笑って自分の作業に視線が戻る先輩を横目に、この嬉しさをどう自慢するかを必死に考えることにした。



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