瓶ラムネは全てを知っている


平和そうに見える街も実はそうでもないというのを嫌でも見てきた。
仕事柄そうだったし、自分の生い立ちもそうだった。仕事として訪れてるこの国さえもそうだ。モデル国。そう言われるほど人々は美しい。海賊がきたら、男でも女でも誘拐するのではないかと思うほど綺麗で、それが逆に卑しい。政府加盟国だが、金よりも見方がいい人間を送るというこの国は王の意思が受け継がれている。悪魔の実で支配してるとしても、それが続く理由が見つからない。何百年も続いてるのだから、何かしらあるばすなのにわからない。それを突き止めるのが俺の仕事だったが、受け継がれているからか容易に尻尾を出さないこの国時代に嫌気がさす。
相棒のルッチとステューシーは歩けば国営のやつらに話しかけられ鬱陶しそうだ。バラバラに分かれて捜索しても声をかけられるから気が張る。人に見つからないように動く俺らとしてはやり辛くてしかたない。
「なんじゃ」
どかりと座ったベンチで休憩とため息をつき、公園のキッチンカーで買ったコーヒーを飲む。全く、イージスになったのに普通の服を着込んで潜入とはな。白いスーツが汚れずに済むわい。
コーヒーを飲み込んだ時、みゃあと小さな鳴き声。黒い猫。どっちじゃ?
コーヒーを片手に伸ばした足を曲げ、開いた足に肘をつく。前屈みになってやれば猫はもう一度、みゃあと鳴いた。
「お前は、猫の方か?」
いや、猫なんじゃが。そうじゃなくて。1人で頭の中で会話をしてれば、猫のくせに行儀良さそうに座る。これは、猫のほうじゃな
「なんの手がかりもないわい。さすが、何年も王権を問題なく維持してるだけある」
コーヒーを飲んで話せば、ため息をついたように見える。公園で遊ぶ子供の可愛らしい顔立ちだこと。人形かと思うほど将来を期待できる顔をしてる。15歳までは体型は余程の基準値を超えない限り楽しそうに過ごしてる。健康を視野に入れるほど余裕があるということか。天竜人の妻になることですと愛想良く話しかけた親子の娘が言うから目を見開いたが、親さえもそれを満足げに見てるから寒気がした。
「むずかしいのぉ。新参者にはちと、重い内容だだったんじゃないかの」
猫を見つめれば何か言いたげな顔。指先であごを撫でるように近寄れば、フイッと顔を背けられる。おーおー冷たいやつじゃなあ。
「王室を漁っても何も出てこんと言うことは、残すものがないほど完璧な策なんじゃろうな」
半ば諦めてコーヒーを啜っていると足元で爪を立てながら裾を引っ張る。これこれと抱き上げて太ももに乗せる。少し動いて、ベンチに横になり頭だけ足に乗せてくる。可愛いやつじゃの。
どうしようないと頭を撫でていれば、ポケットの膨らみに文句を言うから中身を出す。
「落とし物じゃ。さっき親子に挨拶した時落ちててな」
チラリと見せればこの国の証明書。ナインティ・ガーベラズ。年は11歳。
「どうじゃ、有益じゃろ」
自慢顔で見つめれば、満足げに髭を揺らす。俺を膝枕にしながら寝始めるから背中を撫でてやる。
「落とし物だから、センターに届けて欲しいそうじゃ。ちょいとこちらで身元を調べてからでも遅くないじゃろ」
のぉ?と呟けば耳がピクリと動いた。
「おい、カク」
名前を呼ばれてそちらを見れば、いい男といい女。
「猫?」
ステューシーはしゃがみ込んで猫を見つめる。ルッチは何か言いたそうな顔をしてる。今日は目立つから肩にいる相棒はお留守番らしい。
「収穫は?」
「落とし物じゃ」
ポケットからカードを出して彼に渡す。ほう、と呟く彼の手元を立ち上がったステューシーが覗く。
「何もわからないと思うけど」
意地悪く言うもんだから、ムッとして
「じゃあ、お前らはなにか有益なものがあだたんじゃろな」
返せば少し口をつぐむ。ほらみろ。何もないくせに。この後調べてセンターに行きそこを探るつもりだとつければ、2人は見つめ合って頷く。
「ほら、仕事じゃ。猫、そろそろ起きろ」
ポンポンと頭を撫でるが動かない。本当に寝てしまったのか?揺さぶろうとしてルッチが止めに入るから首を傾げれば左隣に影と太ももの重み。あと、ムスクの香りが近くなる。
「起きてるよ。休憩してたの」
少し目線を下げれば猫の顔。アーモンドアイの大きな瞳がこちらを向いてて、少し顎を引く。それと同じタイミングで身体を起こすからまた顔が近くなる。なんじゃ、キスして欲しいんか。
微笑むステューシーにルッチは何か言いたげな顔をしてるから、どうしたのか聞くが、何もないじゃと
「君は、違いがわかる男だね」
ふふと猫が笑うから首を傾げる。綺麗な唇が三日月になる。おい、とルッチの低い声に人声でみゃあと呟いて猫になった。ルッチを見るが目線は逸らされ、猫は満足そうに膝から飛び降りて消えていった。



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