靴音が廊下に響いた音がして息を飲んだ。
ソード隊長のドレークさんとの会話を終えて、部屋を出ようとした時。ちょっと重い足音。慎重になる
電伝虫を隠して、何事もないように振る舞う。隠れた倉庫から出る。でも、勢い余って扉を開け過ぎた
「コビーくん?」
開け過ぎたドアにゆったりと反応した彼女。手には書類が束になってて、散らばらなくて良かったとため息を漏らす
「すみません、焦って開けてしまったようで」
「問題ないよ。忙しそうね」
海軍本部に勤める彼女は、争いには出ない。労務課として軍が回るよう手配する仕事。
軍の労務なんて、あってないようなもんだと思ってたけど。わりと重鎮扱いされる。そりゃそうか、この人たちがいないと軍内部の統制が取れない。首を傾げながら柔らかく微笑む彼女に苦笑いを返す
「そういえば」
あまり喋ったことがない彼女。人の顔を覚えるのが得意なのか。前も、ヘルメッポさんを名前呼びして引き留めてた
「ガープさん、みてない?」
頼んでた書類がきてないの。眉を困らせて話す。バレてなさそうな要件にバレないようにため息をついて、知らないと答える。
「そう」
困ったなぁと呟きがながら手元の書類をパラパラめくる。労務課の人だから戦っているのを見たことはない。軍人だから戦う要員ではあると思うが、よくわからない。
「また、ガープさん見つけたら伝えておいてくれる?」
「わかりました」
柔らかく微笑んで通り過ぎる。
いつしか、彼女に書類を出した時。髪色を褒めてもらったことがある。桜色の髪の毛を無意識に触る。あの頃より昇進して、背も高くなった。声は相変わらず変わらない。そろそろ声変わりくらいしてもいいと思うんだけど。
角を曲がる前に彼女が振り返る。ちょっと鋭い目と目があってドキリ。柔らかくない姿は初めてかもしれない。
口元を楽しそうに笑う。書類が音を立てる。
「元気そうだね」
なにが。と首を傾げそうになり止める。もしかして?
「問題ないよ。廊下までは聞こえてない」
鋭い目はいつもの柔らかい目となって、廊下の角を曲がっていった。
聞こえてないとは。バレたことに焦るのか、彼女が能力者であったことに焦るのか、それとも、全て知っているのだろうか。労務課のソードってなんだ。いや、わざと労務課に?隊長そんなこと一言も言ってない。今すぐかけ直してもきっと出ない。次の定期連絡までこの謎をどうしたらいいか。