はじめの一歩を踏み出さない


潮がぶつかり渦を巻く不思議な海流を観察する。ナミは特に珍しいものでもないと話し、他にも問題が無さそうだと判断するとサンジの作ったカクテルを飲み直しにいった
ぐるぐると消えては浮き出る不思議な海流は、ちょっと見てて楽しい
「そんな、興味があるもんなのか」
魚人の彼はもっと珍しくないのかもしれない。初めて見る海流は、危険がないから隣で見てたチョッパーもどこか行ってしまった
「ワシにはわからん」
ふーむと考える親分に、ちょっと笑う。そんな考えなくてもいいよ
「見たことないからね。あと、ちょっと眺めるのにちょうどいい」
甲板に並んで海流を眺める
マリンブルーの海に白い渦が巻く。ぼぉと眺めてあくびを一つ
「なかなかの集中力」
「海に入れないからね。そのかわり眺めるの好きなんだ」
「悪魔の実ちゅうんは、なかなかの問題を抱えとるな」
そうなんだよ。と雰囲気だけでお返ししてずっと渦を見る。
「渦巻いてたら、泳げない?」
「いや、泳げるぞ」
飛び込もうとしたから急いで止める
「聞いただけだよ」
そうかと大声で笑う。加入が遅い組の私たち。
でも、親分はルフィからの信頼が厚いからみんなからの信頼も厚い。ちょっと、胸がくるりと回る
海域を出始めて、凪の帯を進む。
「おーい、ジンベェ!わりぃが、魚いないか見てきてくれ!」
本日のメインディッシュをご所望のサンジの一声で、あいわかったと海に豪快に飛び込んだ
ルフィたちが集まってきて、ワクワクしてる。甲板の手すりに頬杖ついてそれを眺める。
水飛沫と上がったのは、大きな魚とそれを担ぐ親分。
魚人って、てっきり魚食べないと思ったけど。よく考えたら魚以外食べるものないよね。海底だし
魚というよりも、海獣を連れた親分をルフィが腕を伸ばして引き上げる
「うっひょー!さすがだなぁ、ジンベエ!!」
大きなお肉が食べれると騒ぐルフィたち。嬉しそうな親分。麦わらに加入した理由もその後と内容もちょっとみんなとは異質だから気が引ける
頬杖ついたままみんなを見てれば、いつのまにか渦はいなくなってしまった
「そんなに喜んでくれんなら大仕事した甲斐があったわい」
ワッハハハと豪快に笑う。昼寝してたゾロも起きて、いい肴になりそうだと笑っている。サンジが早速と解体を始める
「さすがですね」
こちらに向かってくる親分に笑って話すと、嬉しそうに答えた
「これで、当分困らないよ」
「ルフィのせいで、食糧庫が切れそうだったそうじゃな」
「よく食べるからね」
確かにと笑う彼。ルフィに声をかけられてそちらに向かう。魚人族特有の肌質が太陽に反射する。いいなぁ、海。人生で一度いでいいから入ってみたかった。シャワーさえ力が抜けるから、サボりたくなるけど、ナミが怒るしロビンに連行されるから吐き気を我慢しながらシャワーを浴びる。彼はきっと、シャワーさえも楽しいんだろうな
起きてきたゾロや騒ぎに惹きつけられた彼女たちもみんな彼に集まる。甲板にもたれながらちょっと外れて見つめる。楽しそうな君たちを私はこうやって見るのが一番落ち着く。
きっと、まだ私はその中に入りきらないんだろうな。横目で遠くを見つめると微かに見える白い渦巻き。その手前に渦になれなかった潮目がぶつかる。水と油みたいな海域。
親分がこちらに気づいて手を上げる。私も笑って返事する。信頼の差を嘆くことはないけど、この距離を壊すなよと心の泥がそう呟いた



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