月に似た泥団子


この国の砂漠全てを砂時計にしたら、どのくらいの年月が過ぎ去るのだろうか。

お父様は年々寝たまま過ごすことが増えた。私が座ることになるその席を楽しみにしてたのに、今じゃちょっと重い
世界会議のため、聖地に足をつく。雲よりも高いこの地。砂一つ落ちていない綺麗な中庭。砂漠の砂がいつでも飛んできてジャリジャリしている自分の中庭を恋しく思う。
明日からは他の王国の方々と挨拶や会話を楽しむ必要がある。
「うげ、ワポル」
私の顔を見るや否やお互いイヤな顔をする。
あの頃とは違う。フンっと顔を背ければ向こうはカチンときたらしく、ワナワナしてる。でも、彼のお供が許さない。さすが。相変わらずねと笑えば向こうも会釈して笑ってくれる。積もる話はあるけど。また明日。ワポルが会議中にでも
通された部屋でいつもより高く見える月にため息
「お疲れですか」
この聖地でお世話になる従者の彼女。左右非対称の色味はちょっとゾクッとする
「えぇ。ちょっとね」
「船旅お疲れ様です」
世界政府の土地だから、少し身が固まる。ルフィさんたちと長旅をしていたからだろうか
「慣れていると思ってました」
まだ半日ほどしか関わっていないが、少しやる気のなさそうな表情というよりも、感情が薄い彼女。慣れているとは
「クロコダイルがお世話になったそうで」
少し背筋が固まる
「世界政府としては、大恥ですな」
適当な口調で淡々と話す。そういうことかと安堵のため息を出す
「麦わらは、いいやつだったでしょ」
吐き出したため息を飲み込む。彼女を見るが怠そうなエメラルドグリーンとスカーレットレッドの瞳
「どんな旅だったんです?私は有難いことにこの聖地から髪の毛一本も出したことないんです」
コトリと目の前に置かれるはアッサムティー。いい香り
紅茶を見て彼女をみる。
「そうね・・出会いは最悪だったけど。楽しい旅だったわ。古代種がそのまま残る島があったんだけど。そこには巨人族の彼らがいて」
少し話をするだけだったのに、長々とクロコダイルを倒すところまで話してしまった。夜がふける
聞き上手な彼女はいつのまにか目の前のソファに腰掛けて、相槌を打ちながら時たま話した内容を質問してくれる。
「海ってのは広いんですね」
ふふと笑う。案外柔らかい笑みだ
「海も砂漠も広い。あなたは良い国に生まれたんだな」
たまに砕ける口調。そうねと笑う
「クロコダイルのことは残念でしたが、そのうち砂漠が全てを覆うでしょ」
冷めてしまったアッサムを引かれる。新しいのを用意してくれるようだ
「ここは時が止まったままだ」
「あなたは、外に出られないの?」
奴隷なのだろうか。天竜人のならその手を引くことができない。私の質問の意図を全て理解したのか、クスッと笑って新しいアッサムを出してくれる
「出ようと思ってないです。変わらないことを好む私にはちょうど良い。
ですが、変わらないということは劣化するだけということ。崩れ落ちる瞬間だけ見て飛び立ちますよ」
共死にするつもりはありませんよ。軽くいうから立場がわからない。
聖地を思ってもない。でも、聖地のために動いてる。あなたが自分で課した足枷を取るにはどれだけの時間があるのだろう



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