硝子玉に透かされた刃先は光を集めてた。白い光を反射させるその姿に魅入ってしまって、きっとアホな顔をしていたであろう自分に気づいて気を持ち直す。頬を両手で挟んでいると、店主と目が合って柔らかく微笑まれる。
「わかりますよ。美しいですよね」
鍛冶屋である彼女は依頼品である私の刀を最終チェックして、鞘にしまってくれた。
会計の間、時間を潰そうと店を動き飾りなのか、水晶玉をなんとなく見つめていた。虫眼鏡のように向こうが少し大きく見えるから、刃先も大きく見えた
白の長襦袢が少し見え、黒い着物を羽織る彼女。
休暇に刃物に詳しい人からここをお勧めされた。海軍御用達らしい。
華奢な身体に見えるが、見かけに寄らずということは海軍に入ってから軍内でも海賊でも見ている
「いい刀をお持ちですね」
ベリーを支払っている間、彼女が話しかけてくれた。芯があって深い声。女性のハスキーボイスってちょっとかっこいい
「大切にしてるのがわかります」
褒められて素直に嬉しい
「あ。ありがとうございます!まだまだ未熟な手入れですが」
あわあわしながら話してしまったが、柔らかく微笑んでくれる。G-5にスモーカーさんに連れてってもらってから、こんな柔らかい対応されたのは久しぶりだ。
「海軍さん、ですよね。それにしては、ずいぶんと優しい刀ですね」
彼女の言葉がよくわからなくて、首を傾げる
「荒々しくないといいますか。まだ柔らかい。そんな印象です」
鞘に入った刀を見る。柔らかいとは
「芯があっても、芯を打ち、折り、また打ち繋いでいく。その荒々しさが全くない。普段戦闘においてあまり使わないのでしょうか」
「そ、そんなことありません!ずっと使ってて、今日だって。この前の戦闘であまりにも傷をつけてしまったから、それのお手入れで・・!」
カウンターに両手をついて乗り上げてしまった。彼女はキョトンとした顔をしてから、すぐ笑った
「刃こぼれ経験があるんですね。わかってます」
ゆったりと私の腰に差した刀を見る。瞬きもゆったりだ
「言い方がよろしくなかったでしょうか。戦闘に使っているにしては芯が柔らかい。迷うことがお有りで?」
ふんわりとした彼女。真っ白のダリアがゆったりゆったりと大きな花弁を一枚ずつ咲かせるような。
「貴女の迷いが剣筋に出るのでしょうか。妖刀ではなくとも、通じ合うのが刀。
でも、芯がないわけではない。優しい貴女には芯が強すぎる方々が多いのでしょうね」
うっ。と言葉を詰まらせる。スモーカーさんやG-5のみなさん。本部の方や、それこそ海賊とか。みんな自分勝手で。自己中だ。
「強い剣筋とは」
カウンターから立ち上がって、そばに置いていたのか。刀を一本取る。彼女のだろうか、いや、そうだろう。妖刀だと脳が告げる。
腰にゆったりと差し、両手を付ける。柄を握った瞬間、空気が張る
「いかに自分の芯が、揺るぎなく。邪魔されず。また、他を邪険にしないか。によります」
カチャッと音を立てて刃を出す。空気が割れる。ああ、ダリアは女王過ぎたか。椿だ
刀を前に持ち、構える。ゆったりと洗礼されたその動きは魅入るものがある。吹いてない風を感じる
一寸も動いてないのに、覇気で切った。いや、覇気なのか。固唾を飲む。ッキンと鞘が閉まる音がして鼻から息が漏れる。ふんわりと笑う
「貴女の貴女による剣筋が楽しみです」
凄いものを見た。その興奮をスモーカーさん話してもきっと伝わらない。
ふとみた、硝子玉は外は変わらないのに中にだけ浮いたようなヒビが入ってた