月の光に反射する泥道には、ブーツの足跡がくっきり残っていて肉球ではないのだとなんとなく思った。チョッパーと違って靴を履いている。ミンク族というのだから、服を着ているのは当たり前なのかもしれない。
「どうかしたのか」
紳士的な彼は私の足取りが遅いことにすぐに気づいてくれた。目線を足元から彼の顔に移す。どう見ても、ヒョウそのもの
「ううん、足跡見てたの」
目線を一緒に足元に移す。ブーツ底の足跡が続いてる。あ、草履跡。
「肉球、じゃないんだなあって」
「風呂上がりなら、いくらでも付くが」
返しも真面目でちょっと笑う。あなたのそういうところ嫌いじゃない
月の光が出ているけど、戦ってないから変身はしてない。あの白い毛皮に覆われた姿は神秘を感じる。強いとは、黒ではなく白なのかもしれない。
「ユガラも、獣人化したらつくのではないか?」
ペドロの質問に、うーんと首を捻る
付くけど、自分の肉球跡を見て可愛いとは思わないよ。だって、自分のだし。最初は違和感あったけどもうない。普通の足跡
「できるけどぉ。自分のは興味ないかな」
そうかと頷いて前を向く。尻尾が揺れてる。かわいい。長い尻尾の先はちょっと丸みがあって、もふもふしてる。でも、尻尾長いと不便な時あるよね。ミンク族ならそういうのもないかも。自分の一部だから。なんとなく、尻尾を掴んでみると、ものすごい勢いで跳ねた。ああ、ごめん、嫌だよね、わかる。
「ユガラ!!」
「ごめんごめん。私のと違うから、つい」
えへへと笑えばちょっと嫌そうな顔して前を向く。でも、私が獣人化したからまたこちらを向く
「ユガラのは尻尾が長いんだな」
「おなじ豹でも、違うよね」
ここはわりと湿地帯だから蒸し蒸しする。獣人化しちゃうと汗が止まらないけど。夜だから問題ない。白くて長く太い尻尾を泥がつかないように持ち上げて腕に抱く。ふわふわしてるけど、なんか違う。断り入れずに彼の尻尾に触れる。ちょっと体が跳ねてた。細くて掴みやすい尻尾。腕で抱き上げることとかなさそう。ヒョイっと動かせるのが少し羨ましい。こっちは少し時間がいる
ペドロは私の腕の尻尾を眺めて、長手袋越しに掴んでくる。ふわふわと何度か掴んで一言
「この芯の強さがいいな」
くすぐったくて毛が立つ。グローブ越しでわかるんだ。お互い尻尾を触り合うというなんとも不思議な時間が流れているが、それを止める仲間は先にるんるん気分で進んでしまった。
「もう、そろそろ」
やんわりと彼の尻尾を話してから伝えると、彼は私の尻尾を掴んだまま、私を見つめ、少し笑う。
「え、なに。あ、あ。ちょ、ま、まって。まって、親指で擦らないで!あ、くすぐったい!!腰が抜けちゃうから!」