鳥の手足に変えた時、無神経にギフターズみたいと笑ってきたのは腹がたった。雪で埋めようと積もらせたけど全てを溶かす貴女には全く効果がなくて、ため息で結局片付けた。
パンクハザードに度々物資のために運搬船を指揮する革のグローブをみつけて声をかける。
久しぶりだから少し嬉しそうな貴女をみて私も笑っちゃう。近寄れば微かにする若様の香り。それは、秘書として?
「おみやーげ」
楽しそうに武器を売り渡す先で買った美味しそうなものをくれる。残らないから食べ物って。彼女らしい。オレ様主義なマスターも手懐けちゃって。最後に残るのはヴェルゴかしら。でも、彼も彼女との会話は楽しそうだから、わりとクリアしちゃうかも
スマイルを売り始めてまだ半年なのに、カイドウの部下には少しづつギフターズが増えつつあるそう。確率も少し改善したいところ。でも、あえて当たらないのがいいのかしら。商人の彼女が若様に提案した、10分の1確率による収益術は見事に上手くいってそう。
眼帯の左目が痒いのか、布の上から指を折り曲げて関節でかく。右目みたいなべっとりした赤が散らばって私の雪で圧迫した。白い冷たい雪が赤くぬるい水に変わる感覚は残っているけど、それをしていた両手はもうここにはない。出会って間もないローにも臆することなく声をかけにいく後ろ姿。ローが意外にも面倒見がいいんだろうなと思ったのは彼女との雰囲気からだった。いい男だよねって。若様の次に、なんて。調子いい子
「じゃあ、私の腕も替えようかな」
「なににだ」
「ただの義手。この肘近くからのはめる素材を革にして、そこから伸びる義手の装甲だけでも海楼石の石版とかにしてさ。能力者で海楼石持ちなんて、最高じゃない?」
「死にてぇのか」
「いやいや。武器としてアリだよねって話。カイドウさんに頼んでみようかな。石版くださいって。痛みなしに改造できるなら君の能力はいいもんだよね」
刀を持ってない腕に軽く触れて、物騒なタトゥーが入ってる指を細い指先で持ち上げる。タトゥーについて話し出して、そのうち無意識なのかお互いの指を重ねて祈るみたいな形にする。ローは嫌がらずにただ、なすがまま。あらあら、男も女もひっかけちゃって。可愛い妹は彼女と手さえ繋がないと嘆いているのに。眼帯の左顔がこちらを向く。無い左目が細くなった気がした。あの左目はどこにいったんだろう
若様を守って撃たれた左目は海楼石の弾で串刺しにされてた。若様の糸が抉り出して抜かれた目玉と海楼石。ディアマンテの剣を奪い目に当て溶かし熱で止血、私の雪で圧迫。転げ回る彼女をみんなで押さえた。今でも私の雪には赤い水が付いているような気がする。
「モネさんは、どうです?」
聞いてなかったと素直に謝る。えーとね、とローから離れて私に近寄る
「私の腕。武器化なんて、カッコよくないですか?」
のほほんと聞いてくるから、ため息ついちゃう。意地悪で
「若様に近寄れないわね」
なんて言っても、首を傾げて
「腕は離着可能ですよ」
なんて言ってくる。なんとか眼帯を見つめていれば、気づいたのか左手でそっと触れる
「気になります??もうなんてことないけど。モネさんいてくれたから火傷もマシです」
今度はガスでも吸いましょうか。なんて、自分を大安売りするんだから。ちょっと、イラつく
「若様が許さないわよ」
「逆に喜びますよ。強くなったなって褒めてほしいなぁ」
ふふんと笑う姿。スケジュール管理が得意でなんだかんだ帳尻合わすのが上手い。仕事は好きじゃないっていうくせに重要な場所は割と彼女が占める。若様のためにならなんだってなる彼女にちょっと対抗心。私だって、若様大好きなんだから。なんとなく羽先で眼帯に触れる。くすぐったいのか楽しそうに笑う。ローと目が合う。すぐ逸らされる。彼女との会話奪ったから。ちょっと勝ち誇ってみる。触れた先から視線を感じて見てみれば赤い瞳がこちらを向く。
雪を染めた赤と同じその瞳。いつ見ても私の記憶には雪が積もる。手足を変えても消えないなら、いっそ抜き取ってみる?
私の視線に気づいたのか、楽しそうに笑って私の骨盤にしがみついてくる。ギュッと効果音が響きそうなその仕草に呆気を取られてたら。にやりと笑う
「あーげない」