空欄のテキストボックス


革命軍が拠点をイワさんの国に変えてから半年。いろんな人たちが集まってきて、久しぶりの人とか、懐かしい人とか、いつもの人とか。その中でもやっぱり彼女は浮いてる
「お疲れさま」
柔らかく挨拶してくれるから、こちらも挨拶を返す。みんなと話すテーブルから少し離れてるから人は少ない。挨拶して、なんとなく空間が空いてしまってちょっと居心地悪い
「えーと、今日も?天気がいいですね!」
「そうだね」
居心地悪くて天気の話をしたのに、それさえも終わってしまった。いつからいたか思い出せないけど、わりとお互い古参。サボくんは妙に懐いてて、私の言うことなんてぜーんぜん聞かないのに彼女が言うと全部素直に聞く。
いつも咥えてるタバコはベティさんが吸ってるのと同じ。そりゃそう。彼女が教えた。私も吸って見たいけど、声をかけるのに勇気がいるから結局まだ何もできてない
「君は」
彼女の声で意識を戻す。おかしな話だ、ずっと意識は彼女に向いているのに
「会議に出ないの?」
後ろで行っているであろうお茶会に目線を飛ばしてる。私も少し振り返って見てみるけど、たぶんアレは雑談
「たぶん、雑談なので。大丈夫です」
そのまま伝えてから、今離れるチャンスだったなと頭の中で自分の額に手を打つ。
彼女は、そう。と優しく話してタバコの呼吸を行う。桜の舞うこの国で桜の木に座ってもたれる彼女は割と絵になる。なんでここにいるのかとか、よくわからない。しかも、別に出動しているわけでもドラゴンさんの元で何かしてるわけでもない。ただ、いる。でも、それが気になる。
「貴女は行かないんですか?」
いつも雑談に参加してない彼女。この港が見える桜の木の下でタバコを吹かしている。たまにアヒルちゃんたちと会話しているのもみるけど、なんの話してるかとか知らない。
「んー?んー、別にいいかなぁ」
ちょっと考えるような口調だったのに、わりときっぱり断る。
「でも、わりと重要なこと話してたり」
「それは、君もじゃない?」
ふふと笑われて、恥ずかしくなる。帽子の鍔を少し下げる。顔が赤い気がするから見られたくない。
「でも、私より長く居ますし」
「参謀長補佐の君より、立場は下だよ」
「で、でも。イワさんとかモーリーとかのお使いとか言ってる時あるし」
「君たちは革命自体を起こしにいってるじゃない」
「1人で、船出してる時ありますよね?」
「1人で動いた方が早い時があるからね」
「それって、でも、頼られてるってことですよね?」
「そうかな?ただ、隣の島に材料調達してるだけだよ。お使いだよ」
えーとえーと、なんて。口の中で言葉が混ざる。彼女の立場を明らかにしたいけど、逃げ出したい気持ちも一歩ある。
柔らかく笑う声がして顔を上げると、桜に吹かれる彼女が口からタバコを抜いて紫煙を出す
「大丈夫だよ。君たちの革命が枯れないように貿易係なだけだから」
立ち上がりながらタバコを口に戻す。戻した指がついてる手のひらで私の頭をぽんぽんと優しく撫でてテーブルに歩いていく。
帽子越しに頭を押さえて振り返る、撫でた手をヒラヒラと振る後ろ姿に、なんとも言えない空気が喉の奥まで溜まって肺がパンパンに詰まった。
彼女の姿を見つけたサボ君が話しかけるのを見て、またなんとも言えない。



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