足をバネ状にして雑魚を討伐した時、背後から手を叩く音がしてそちらをみる。依頼してきたディアマンテの部下である彼女は褒めるように手を叩き俺に近寄る。ふふんと楽しそうに笑っては手を後ろに組んでふわふわと俺の隣まで来て、足元に血塗れで倒れる男を見つめる。
「えぇ、上出来なのでは?」
幹部ではないにしてもドフラミンゴからの信頼が厚い。それがちょっと、いやかなり嫌悪感。特別な力があるように見えないそいつは血塗れの男を爪先で突き見ている。
「なぁんだ。君仕事とできないのかと思ってた」
失礼な奴だな。睨んでもこちらを見てないというか、気にしてない。初めましての癖にシャアシャアと話すからカチンとくる。くるりと、こちらにまんまるな瞳が向けば身体がギクリと固まる。いきなり見るなよ
「ジェリーロジャーに泥塗ったって聞いてたのに。以外と活躍するんだね?」
そんなことまで知ってんのか。憧れのあの人に誓った。もう2度とヘマはしない。俺の答えは聞かずにまた足元の男。興味もなさそう
「お前は、ドフラミンゴのなんなんだ」
ため息混じりに聞いてみると、黒い眼がこちらを向く。デカいブラックパールみたいな瞳。ちょっと考える仕草。にやりと笑う
「んー?愛人?」
ぜってぇ違えだろ。バカにしたようにケラケラと笑うから違ってるのは間違えない。答える気のない姿に思いため息。
「なんだっていいじゃん。雑用だよ、本当に」
「そんなやつに、ドフラミンゴは部屋まで入れねぇだろ」
俺の言葉に驚いてるのか、ぱちくりと瞬きして口が楽しそうに歪む
「ほんとに、若様好きなんだね」
悪いかよ、憧れだ。昔から俺の英雄。そっぽ向いてるとケラケラと笑い声
「何も知らない癖に」
じゃあ、お前は知ってんのかよ。言いかけてやめた。マウント取りに付き合ってられない。帰ろうと歩き始めると足音がしなくて後ろを振り向く。手を後ろに組んだまま楽しそうに立ってる。
「知りたくないの?教えてあげるのに」
烏滸がましく呟く。興味のなさを装うけど見抜かれているのかニヤニヤしてくる。ムカつくやろうだ。飛ぶように歩いて俺の隣にやってくる。耳打ちするように手と口を耳に近寄らすから少し屈んで耳を貸す。
「若様はね・・自分で爪切りできないんだよ」
はっ。声を出す代わりに顔が作る。なんだその秘密。別に興味ねぇよ。というか、爪切りできねぇんだ。能力とかでやりそうなのに。
「ウソじゃないよ」
ケラケラと楽しそうに笑いながら前に進むあいつをちょっと睨む。ウソだと思ってねえよ。そんな小さいこと。立ち止まった俺を首を傾げながら見つめてくるから、ため息ついてついて行く。
後日、爪やすりまでしてもらっているドフラミンゴと世話をするメイドたち。それを立って見つめるあいつがいて、嘘はついていないと言うのは本当だと言うことだけはわかった。