君の眼孔に灯る火の粉について


あなたが海賊になってから、もう長い年月が経った。超新星なんていわれて、億越えにあっという間になってしまって。いくら、swordといえどそれは容認できないですってば。
あなたがいつも将校コートを広げて座っていたこの席は今でも空席のままだ。私が座らないから。辞表提出済みって、別に辞めたわけじゃないんですよね。四皇に自分で立ち向かえるために選んだ手段ですよね。今でもこうしてあなたの面影が見えるというのに、あなたはそこにいない
「何かあったのか」
鋭い眼光、特徴的な眼帯。父をドフラミンゴには殺された、正義感の強いあなたは、私の発する言葉の前にいつも声をかけてくれた。
「ああ、いいぞ」
ひとつ相談いいですか。ひとつ質問いいですか。ひとつ、ひとつ、あなたに聞くひとつ前の掛け言葉に声だけ頷いて身体を向けてくれる。
戦闘能力も強くて、策を考えることも得意。だから、swordの隊長なんて務まるんだろうな。あなたの船員は隠れ海兵。みんなswordで構成されてる。ついていかなかったのはワザと。コビー君があなたに情報を渡してくことくらい知ってる。それでもです。swordである彼に届かないようにしてる事があったらどうするんですか。結局いつも詰めが甘いんだから。
「はは。すまん、助かった」
子供っぽい、目を細めて笑うその顔に何度ため息で全て片付けてきたんだろう。逞しいその背中について行くみんなを見るのが好きだった。あなたの光を象徴してるみたいだから。
急に訪れた別れと自分の昇格は中々落とし込めなくて、空白になった席を横目に辞令を手渡された時で、時間が止まってる。今じゃ、あなたより見てる部下が多いんです。恐竜のあなたに勝てないけど、能力だって使えるようになったんです。
「ふっ。自慢の部下だ」
短く笑って褒めてくれる。柔らかくなるあなたの瞳が好きだった。胸が溶けるようにあったかくなって、その快感を味わいたくてまた頑張れてたんです。
もう聞こえない声も仕草も、私の脳裏にはずっと張り付いてて空席は埋まらない。将校なのに、将校の席に座らずに元の席で業務する私を部下はいつも首を傾げる。いいんだ、これで。きっと、戻るよ。
何も進まない私に、四皇についてくあなた。何かで会えたら何してくれますか。あなたが座らない空席を見て思う。ひとつ、わがまま言っていいですか。ひとつ、ひとつ。思うことは多くて、結局何も言えない。またいつか。なんてお互いに来るのだろうか。



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