風に靡かせたワンピース


「ああーー!!」
あまりに大きな声で肩が盛大に跳ねてしまった。声の主を見れば、額に手をやり片膝ついて天を仰いでる。後光が見える。
「僕としたとこがっ!僕を彩る香水を割ってしまった」
嘆いてるのか楽しんでるのか。いつもよくわからないけど、声をかけて欲しそうだからとりあえず声をかける
「どうしたの?キャベツくん」
「キャベツではない!キャベンディッシュだ!」
知ってるよ、長いんだから。そりゃ、ルフィだってそんなあだ名つけるよ
一瞬、こっちに怒ったのにまだやってるその姿にため息。美しい声で「あぁ、なんてことだ。あぁ・・」ってずっと言ってる。
「なに、どうしたの」
「香水を落としてしまったんだ。僕のために作られた、僕だけの香水さ」
割れた瓶からは香り高いローズの香り、トップはわかるけどそのほかは何入ってるんだろう
少しピンクみのある液体が床に広がる。しゃがんで見ればいい香り。大量にあって近くで嗅いでもイヤにならないなんて、よほどいいんだろうな
「どこの?」
「南の海さ。特注だ」
へぇ。とあまり興味持てなかったから適当に返しておいた。香水ね
ナミちゃんが新しくしたといってつけていた花々の香水。ちょっと香りが高めのやつ。鼻が聞くチョッパーはつけすぎるなよとだけ言っていたけど。ゾロが臭いとかいうからナミちゃんが大激怒した。あれは、ゾロが悪い。もっと言い方あるでしょうに。ロビンちゃんもつけてるけど、私はつけない、というよりも忘れる。香水をつける手順を毎日踏まないからかな。
「香水は、つけないからわからないや」
私の言葉に片膝ついた王子様はこちらを見る。
「ハァ?それでも、乙女か」
女とか言いそうなのに、そこは腐っても王子様か。そうなんだよねと笑ってみれば鼻で笑われる
「身だしなみの一種だぞ。自分を構築する」
確かに?記憶は匂いからというし、わかるんだけどさ
「私に合う香水は?何がいいと思う?」
「合う香水ではなく、好きな香りを纏いそれを自分にするのが香水の醍醐味だ。たかが、匂いだけで構築できるわけあるまい」
フンと鼻を鳴らす。男性で香水とはまた粋な気もするけどなぁ。あ、でも。トラ男くんの服とかいい香りしてたし。彼もつけてそうな気がする。男男してそうで、わりと身だしなみきちんとしてるからな、彼。うちの船でも髭剃ってたし、Room内で。髭剃り忘れたなら借りたらいいのに。
とりあえず拭こうかと雑巾を探す。そこら辺にあったタオルで床を拭いてたら上から彼の視線。君が割ったのに
「香水、つけてないにしては柔らかい香りがする」
どゆこと?首を傾げて手を止める。美形な顎に指を添えて探偵よろしく考えごと。
「ミルクのような、清潔感のある・・」
呟く姿を視界の隅に入れてから床を吹き上げて、箒を探す。ガラスどうにかしないと
「ねぇ、箒ある?」
「ああ。ここだ」
手渡される箒を受け取って瓶を片付けていたら、また彼の視線
「なに?」
「香水で彩らなくても、自分を表現できているということなのだろうな」
うんうん。と勝手に話を作って解決するから首を傾げる。
「ドレスローザのような、焦りがあると口は悪くなるが。普段はゆったりとしているということか。君らしいんじゃないか」
なにかいいこと思いついたのか勝手に喋って、スッキリしてる。なんでも、いいけど。割れたこれはどうするの?大切なんじゃないの
「僕も、僕の香りがなくとも素敵になれるからな!それはオマケだ!」
マントをはためかせてない風を感じる。よくわからないけど、香水がなくても君は君だと思うよ



HOMEtop prevnext戻る