灯りを落とした船に白い光を見つけた。
トイレで目が覚めたけど、戻っても寝れなくて。ブランケットを巻いて部屋を出てなんとなく歩いてたら音がしたから寄ってみる。工房から漏れる光。
「アーウ。起こしちまったか?」
フランキーは作業の手を止めて、階段から降りてきた私を見つける。
「ううん、目が覚めちゃって。何してるの?」
ブランケットに包まれたまま、彼に近寄る。電気もつけずに白い光で手元だけを照らしてる。
「いやぁ、ちょっと気になってな」
手元を見ればなにかの機械。モーター?わからないけど、何かいじってる。ハンダゴテだろうか
「気になったら寝れなくなっちゃったの?」
「オウ、その通りだ」
ニヒヒと笑う彼に近寄ると、優しく「足元、気ぃつけろよ」と伝えて白い光を私の足元に広げてくれる。白い光を伝いながら触れる場所に移動する。腰掛けてブランケットの端と端を引き寄せる。
「見てていい?」
座ってから聞いたのに、彼は優しく笑って「もちろんだ」と返してくれる。
白い光を浴びながら彼の黄色い手の動きを追う。ちょっとだけ離れた位置から見る彼の動きを曲げた膝に顎を置きながら見つめる。デカい肩。それを支える背中。集中してる。ビビビとかジジジとか聞こえる音を聞きながら彼の作業を眺める。機械音だけが響く。真夜中に見つけた自販機のような、そんな空間。別に喉なんて乾いてないけど、ついラインナップ見ちゃう。そんな感じ。
「ねみぃか?」
あくびの呼吸音が聞こえたのかこちらを向く。青い坊主頭のフランキー。青白い光に照らされて柔らかく見える。
「んー、どうかなぁ。もうちょっといちゃダメ?」
なんとなく動きたくなくてワガママをこぼす。問題ないと伝えてくれる彼に甘えてそのままの姿勢で手先を見つめる。何も考えなくていいこの空間が落ち着く。目が冴えてるわけじゃないけど、落ちるわけでもない。その塩梅も気持ちいい。ブランケットの温もりが優しい。
話すことがないからか、それとも集中してるからか。彼は別に私に話も振らずに作業に没頭してる。その姿勢が今の私に満足を与えてて、またあくびを噛み砕く。いや、溢れたな
何も言わないから、私も動かない。青白い光が心地いい。母の胸で聞く心音みたいなノイズ音が私の呼吸を整えてくれる。
気づいたらフランキーの元じゃなくて甲板にいて、隣に不寝番だったゾロがいた。壁にもたれるように寝ていたゾロの厚い胸に頭を預けて寝ていた。動いたら起きたようで、フランキーが寝た私を抱っこして甲板に出て、晩酌してたゾロに預けたらしい。ゾロもゾロで女部屋に入っていいかわからなかったからって隣で寝かしてくれたみたいで、ちょっと申し訳ない。
「おはよう。昨日はありがと」
いつ寝たのか、男部屋から出てきたフランキーに挨拶したら
「アーウ!顔色も良さそうだな!!」
なんていつものマッスルポーズをしてくれるから、ちょっと笑う。昨日の光と変わって太陽の黄色い光を浴びる青い髪。
いつだって頼れるアニキは今日も絶好調のようだ。