ブルーアワー


夜、モコモ公国はネコマムシ旦那の預かりに変わる。ガーディアンズがくじらの森から広がり、夜を謳歌しながら半日を過ごす。
木の上からの視線を感じて見上げてみれば、長い尻尾が木の枝にくるりとかかっていた。
「見張りですか?」
移動して彼の隣に立ってみる。幹に手をつきながら立ってみるけど、意外に高い。しょうがないから、足だけ獣人型にして止まる。彼は短く返事をして動かないから首を傾げれば、私の腕を見てる。獣人型にしてないからかな。悪魔の実は知ってるけど、使ってるミンク族は見たことないから、ここには生えもしないのかも。
「ゆガラは」
聞いてるのに、途中で止めちゃうから気になる。もっと首を傾げれば口を少しモゴモゴさせる。
「変身するのは好きなタイミングなのか?」
もちろん、そうだけど。そう答えてもちょっと気になっていたから、私も考える
「夜行性、だけど。別に関係はないよ?」
私のモデルとなってる、シマフクロウは夜行性でだけど関係はない。ここは流石に鳥の住民はいなかった。もっと効率的な飛び方とかあったら教えて欲しかったんだけど。
私の答えに、そうかとだけ答える。無口な彼。足で固定してるから両手を自由にして私もタバコに火をつけようとして、ライターがないことを思い出した。ああ、と項垂れていると彼が指先を持ってきた。よくわからなくてタバコを咥えたまま固まってたら、ジジっと電気が走って火花が舞う。そのままタバコに火が灯ったからひと呼吸
「ありがと、便利ね」
私の言葉に頷いて終わり。静かな空間が木の枝だけ広がる
「いつも、サンジがつけてくれてから」
タバコ仲間として彼はよく私に火をつけてくれてた。彼が自分のご飯を食べて、片付けして、休憩までになにかして、やっとタバコ吸う時に外に誘い出す。決して手伝わせてくれないから、彼の仕事が終わるまでテーブルで本とか自分の好きなことして待ってて、終わりを見つけたらキッチンに迎えに行ってタバコを誘う。ああ、そういえば。彼との空間もこんな感じで、静かに降り始めた雨みたいなぽつぽつとした会話だった。さっきのご飯の感想。彼が楽しく話してくれる味付けや捌き方、魚の種類、それを聴きながら気になったことを彼に聞く。聞かれることが嬉しいのか、彼はよく喋った。
「そうか」
「ここにも、タバコはあるんだね」
「ああ、タバコの葉が生えているからな。それを乾燥させて作ってる」
なるほど。それは美味しそう。彼の手元を見て、おねだりする
「美味しそうだから、今度ちょうだい」
私の言葉に大きなおめめをぱちくりさせて、短く了承をくれる。
「口にあったら、多めにもらおうかな。サンジにもあげたい」
ダメ?口元をタバコ指で隠しながら無言で首を傾ける。彼はふっと軽く笑って
「いいぞ」
と短く返事をくれる。紫煙の先で太陽が登ってきて、彼との時間が終わってしまう。大変なことがあったけど、ここでタバコを吸える時間が地味に好きなのに
「また、一緒に吸ってくれる?」
ちょっと危ないニュアンスか?頭の中で自問しながら彼を見つめれば、また短く返事をくれる。
黄色の髪は同じ。片目隠してるのも同じ。でも、当たり前だけど全然違う。そもそもミンク族だし。いつか、3人で美味しいタバコを吸えたらいいな。なんて、おはようとおやすみが逆になる朝にお別れを告げる



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