大好きな冬島だったけど、あいにく寒気は過ぎ去ってて間を開いた期間だった。
雪は降らないけど、積もってはいて冬の冷たい空気と太陽が比例している大地に大きな肉球がついている。
「ベポー」
のんびり目当てのシロクマに声をかければ、つぶらな瞳をこちらに向けてくれる。
「アイアイ、どうしたの?」
「これ、キャプテンに持っていってくれる?」
物資運びをみんなで行ってて、桟橋から甲板にはキャプテンのシャンブルズで移動してる。青い膜に包まれる黄色の戦艦。オレンジのツナギを着た彼は、元気よく返事をすると木箱を持っていってくれる
空に息を吐いてみれば白い煙を巻いてて、鼻先が冷たい。
「あて」
変な言葉が出てしまった。耳と頬の境界線。耳たぶの下というのか。ピリッと切れてしまった。割と痛い。治りにくく忘れやすいその赤切れに似たソレ。左耳を包むようにして痛みを逃す。意味ないけど
「どうしたの?」
私の行動が不思議なのか、首を傾げる。かわいい。荷物はもう運んでくれたようだ
「ここがね、切れちゃったの」
そっと、耳たぶを引っ張る。ピリッと痛い。ベポは見えずらいのかしゃがんで覗く。
「うわ、いたそー。キャプテンに見てもらお」
「いや、慣れてるからいいよ。寒いとなっちゃうんだ」
同じ目線になったベポ。なんとなく耳に触れる。触れる前にちょっと動くから、かわいい。
「耳まで暖かそうね」
ふわふわ触ってみれば、嫌がらずにちょっと頭を下げてくれた。そのまま頭を撫でてみる。気持ちよさそうな顔
「雪、降ってなくて残念だったね」
「でも、結構寒いから。降ってたら船も近寄りにくいし、結果オーライだったよ」
晴れてるからギリギリまで潜水できたし、風も強いくない。さすが航海士。いい耳と嗅覚を持ってる。それと、野生の勘
「いいなぁ。寒いの苦手だから。動物系の実でも探してみようかな」
毛を撫で付けながら呟けば、顔をこちらに持ち上げる。
「どんなのがいいの?」
「うーん、ラッコとか。かわいいし」
泳げるからキャプテンも助けれる。
「そんな都合よくないだろ。溺れちゃうよ」
「ベポが助けてくれるじゃん」
ね。と笑えばちょっと嬉しそう。
「でも、水浴びて潜水艦だと匂いそうだからダメかな。そうなると、何だろう」
何がいいかなって呟けば
「雪豹とか強いし寒さに強いと思うよ。でも、そうだなぁ。オレはメスのくまがいい」
どこ行ってもいないんだ。なんては不服そうにいうから、首を傾げて
「私に、メスのくまになって欲しいってこと?」
ベポは首を傾げて、ちょっと考えて、考えて浮かんだ答えに白い頭を赤くする。
「え、あ!いや、ちがうよ!!そういう意味じゃなくて!!」
手を前で振って否定してくる。焦ってて可愛い。わかってるよと笑えば肉球を目にくっつけて俯いてる。
「おい、ベポをいじめるな」
低い心臓に響くテノールがしたから振り向けばキャプテン
「いじめてないよ」
そう言ってベポの手を取って、瞳から私の耳当てにする
「皮膚が寒さで切れちゃったから、温めてくれてたの。ほら、ラッコってまぶたで肉球を温めるでしょ」
ね。なんて、笑ってみればベポはまた赤くする。キャプテンは首を傾げながら、ラッコ?と呟いてる。ゴマフアザラシみたいな帽子が揺れる。かわいいで挟まれてて幸せ。ニヤニヤしてたら、ニヤニヤするなとテノールで怒られた。