おまけ入りの入浴剤


お風呂上がりに熱冷ましと夜風が涼しくなった甲板に出た。夜の風はやはり気持ちが良くて気持ちがいい、今日はチョッパーも入る日だったみたいでみんなで長風呂してしまった。お風呂とはいえ力が相当抜けるから、湯船に入る時はナミちゃんがいてくれるとすごく助かる。のぼせたような感覚でずっとお風呂に浸かってるから時間感覚も本当にのぼせてるのかもわからない。出るわよとナミちゃんが声をかけてくれないと意識が飛んだままになってしまう。
今日は晴天らしく、星がチラチラと輝いている。今日は湯船に浸かったから、アイス食べよう。お風呂頑張ったご褒美。たしか、私のアイス箱にハーゲンダッツが入ってたはず。レインボーゲンでもいいな。いや、むしろスーパーカップとか?
何味にしよかなと軽い足でキッチンに向かえば、トントントンとまな板に響くいい音。
「あれ、どうしたの?」
片目を隠した素敵なコックさん。明日の仕込みをしている。
「アイス取りに来たの。今日、湯船浸かったから」
「お風呂上がりのレディ、なんて魅力的なんだ」
ああ、そっか。生足半袖はちょっと刺激強かったかな。でも、ロビンちゃんたちみたいなスタイルしてないから、そんな鼻血垂らさなくていいよ。
「チョッパーもお風呂の日だったからね。みんなで入るとつい長風呂になるんだよね」
「はぁ?!一緒に、お風呂ダァ!?あ、いや、チョッパーか。まあ、チョッパーなら、うん、まあ、いいか」
自分で起こって自分で解決してる隣で冷凍庫を開けて私のアイス箱を取り出す。なににしようかな
「じゃあ、お風呂頑張ったレディに俺が素敵なアイスを作ってやろう」
サンジくんはそういうと切り終えた野菜たちをタッパーに詰めて、冷蔵庫に入れようとするから冷凍庫を閉めて場所を空ける。
「アイス作ってくれるの?」
「アイスは今からだとレディが寝ちまうから、既存のもので。ただ、その既存のバニラがもっと素敵になるように一味加えるよ」
ニカッと笑う。えぇ、楽しみ。
「生簀のところでまってていい?」
「ああ、すぐ持っていくよ」
キッチンを出て本とカーディガンをとり、生簀のソファでくつろぐ。ソファに足をあげて太ももと膝で本を支えて読んでいるとサンジくんが目の前のテーブルにコトリとお皿を置いた。
「お待たせしました」
本をやめて目線を上げれば、いい香り
「ショコラケーキ バニラアイス添えです」
腰に手を当てて給仕の人みたいに腰を折る。
「すごい!今作ったの?」
「ああ、本を読むならすぐできないのがいいかなって。1時間20分でできるソレにした
あと、。好きだろう?」
知っててくれたの、うれしい。ありがとと伝えるとどういたしましてと紅茶まで入れてくれる。いい香り。隣に座ってと隣を叩けば座ってくれる。
早速食べるとまだほのかに温かいショコラケーキは柔らかくてデコレーションしてある白い生クリームが口で解ける。
「ん、なんかお酒の味。ラム?」
「お、よくわかったね。ラム酒入りのスポンジケーキだ。ボンボンショコラ、好きなの思い出してね」
「また、覚えててくれた。嬉しい。どうやって、スポンジケーキにラム酒入れるの?」
「簡単さ、生地を混ぜてる工程で生クリームを少し減らしその分をラム酒にするんだ。香りが飛ばないように温度はあえて低め、でも、焼く時間は長めに。その間に生クリームを泡立てて、冷やす。ソレにも少し風味を混ぜてるんだぜ」
楽しそうに話す。うんうん、美味しい。ラム酒も相まって口がしっとりしてきたらバニラアイスを挟む。冷たさが浮いてきてスッキリする。美味しい
「レディは、ほんとうに美味しそうに食べる。飾りの生クリームの絞りも食べてくれるし、その上のミントも食べてくれる」
嬉しそうに伝えてくれるサンジくんを見て、首を傾げる
「ミント、みんな残すけど。さっぱりして美味しいよ、生クリームと相性がいいのなんてみんな知らないんだから。勿体無い。生クリームとミントが合うって思いついた人はすごいよね
こういう、食べなさそうな飾りまで。彩りだけじゃなくて味まで考えてるんだから。一度に二つのことを考えるって難しそう」
ねー。雑談のような口調で伝えればサンジくんは瞬きしてこちらを見る。紅茶を飲みながらまた首を傾げる
「そういう風に考えたことなかったな。さっぱりするから置いてる。彩りとして置いてる。そういう簡単な認識だけだった。
さすがレディ。俺よりも見聞が深い。恐れ入るぜ」
顎に指を添えて考える素振りから納得して笑う。プロに褒められるなんて、嬉しい限りだ。
「レディは色んなところに目が効くから、そういったなんでもないことを拾ってやれるんだろうな」
「そうかな?」
「ああ、そうさ。戦闘においてもそうだし、行き先についてもそうだ。ナミさんだって、なんとなしに話を聞いてくれてるだけなのにふとしたレディの発言から拾えることがあるって言ってたよ」
雑談好きだから愚痴でも独り言でも聞いてるのが好きなだけなんだけど。ふと思った時に質問してるくらいでまさか自分の適当な会話が役になってるなんて考えもしなかった。
「いつだって、レディの視点の定め方には助けられているよ」
またニカッと笑う。ちょっと、褒めすぎじゃない?褒められるほど戦闘力も高くないし、サンジくんたちみたいになにかのプロフェッショナルでもない。
「褒められること何もしてないよ」
「そうかな。レディは細かいところに目が届くからみんなが大きく動いてる時に小さいことにまわってくれてるだろ?それってさ、大きく動いてる側からするとすげぇ助かるんだよ」
「ふふ。えぇ、そうなの?そうなら、嬉しいんだけどなぁ」
ニヤニヤと恥ずかしさで口角が上がる。バレないように紅茶のカップを持ち上げて隠すけど意味なさそう。
「ああ、いつでも頼りにしてるよ」
両翼の彼にそういわれては、参ってしまう。
せっかくアイスで熱を覚ましたのに、また熱をぶり返すようだ。なかなか引かない余熱を頬に、恥ずかしくなって隣に座ってた彼の口にショコラケーキを放り込んだ。



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