口の中でコロンコロンと転がしていると、何を嗅ぎつけたのかうるちゃんが手を向けてくる
「よこすんだお」
相変わらず横暴。無言でちょっと見つめてポケットから舐めてた飴を差し出す。包み紙を取って口に放る。おいしい?ってきけば、甘いんだおって答えてくれる。口が悪いのもご愛嬌。私が教えた語尾にハマったのか最近ずっと言ってる。ページワンくんは頭を抱えてて、教えてた私に説教してきた。
「初めて食べるんだお」
「ワノ国に売ってるよ。ぼんたん飴。食べたことなかったんだ」
「しらねぇんだお。つうか、買ったのかよ」
「買うよ、海賊じゃないんだから」
「海賊だろ」
もー、うるちゃんまで。私、別に君たちの仲間じゃないからね。ルナーリア族がいるって言うから頑張って会いに来ただけの一般人。
人の国で好き勝手するのどうかと思うよ。キングくんも、ハーフの私に優しくしてくれるのは嬉しいんだけどさ。滅ぼされた側なんだから、なんか言ったら?
キングくんとは時期はずれで政府に捕まってハーフだって言ってんのに実験されてた。キングくんたちより頑丈ではないから痛いししんどいし死ぬかと思った。というよりも、死んでやると思った。ルナーリアのお父さんが私を逃してくれなかったらきっと死んでた。お父さんは私を逃すために死んだ。最後に、キングくんの存在だけ伝えてくれたからそれを希望に生きてきたのに、よりによって四皇なんて。
出ることもできないから一緒にいるけど、戦闘能力もさほどないから怖いのはお断りだ。キングくんみたいな羽さえあればなぁ。飛ぶにしては小さく細いそれ。キングくんとお父さんのは立派だったのに。
仲間じゃない発言に気分を悪くしたうるちゃんは、めちゃくちゃガン飛ばしてきた
「はあ?」
「もおー、怖いから。笑ってうるちゃん」
飴美味し?宥めながら聞けば、口の中でコロンと転がした
「柑橘系だお」
「ぼんたん飴だからね」
ぼんたんっていう柑橘のフルーツがあるんだよって伝えれば、ふーんって興味なさそうに口の中で転がす。一緒に転がしながら向かい合っていれば、私の書類に気づいたのか目線がいく
「何持ってんだお?」
「スマイルリストだよ。またギフターズ増えたからね。出現した種類と与える順番のリスト」
教えてあげたのに、またふーんとつまらなそうな声
「お前は食わねぇんかお?」
「スマイル?やめてよ、一生笑ってるなんて嫌よ」
「そうじゃなくて、悪魔の実のほうだお。カイドウさんに頼めばオークションでいいの買ってきてくれるお」
「えぇ、戦闘力もないのに?」
「お前みたいなほっせぇやつ、悪魔の実を頼らずなにで勝つんだお」
そういう意味じゃないんだけど。うーんって困ったように笑って誤魔化した。
「困ったことがあったら助けてね」
「はあ?当たり前だお。私が助けないで、どーすんだお」
優しいんだから。つい笑っちゃう。
「なに、ニヤニヤしてんだお」
「優しいね」
「はあ?私はやさしーだろ」
あ、口調ズレた。にやにやしてる私に、チョップをかましてくるから避ける
「避けれるなら、武装色つけるんだお」
「いやだお」
マネしてやればイラッとした顔。ああ、可愛いお顔なのに
「バカにすんなお」
「してないお。私が教えたお」
はあ、面白い。もう行かなちゃ。じゃあね、と手を振れば悔しそうに地団駄踏むんだから可愛い。ページワン君に言ったら引かれそうだけど
「さっきのもう一個寄越してから、行けお!」
なんだ、気に入ったのか。いいよ、ともう一個取り出してあげれば包み紙を取って口に頬張る。その姿をにやにや見てから、じゃあねと歩き出す。
「何笑ってんだお」
斜め後ろから言われるから、首だけ振り返る。
「それね、袋のまま食べれるんだよ」
はぁ?眉間に皺を寄せるから「ぼんたん飴は袋が可食のものだからそのまま口に頬張れるんだお」って教えてあげたのに、顔をムッと赤くしてた。変身する前に逃げちゃお。
「はあー?!先に言えよ!」
「知らないと思わなかったんですー」