湯気が所々出るという活火山な島は温泉が有名だそうだ。硫黄の香りがする奥にさえいかなければ、ただの観光地でのどかな温泉街は人々で溢れていた。
「さっぱりするな」
ログが溜まるまで温泉ざんまいであるからイッカクちゃんと回っていればペンギンたちに出会った。ベポは暑いと唸っていたし、能力者のキャプテンはさっぱりするけど毎回も入ってられないとどっかいってしまった。記念コインでも探してるのかな。ありそうなところだけど
「温泉たまごは食ったか?」
「ううん、まだ。饅頭ならさっき食べたよ」
三件目のお風呂を上がったところでソフトクリームのバニラを片手に足湯に浸かる。このアンバランスってなんてこんな気持ちいいんだろう。
ペンギンはいつもの帽子をかぶってて相変わらず表情は読めない。顔を見せたがらないうちの両翼は私のアイスを見て自分もと買っていた。
「はー、でもいいもんだな。温泉巡りってのも」
「潜水艦に閉じ込められてるから、尚更開放的なお風呂が気持ちいいよね」
「キャプテンも、もっと入ればいいのに」
「能力者には、キツいんじゃないかな」
確かになぁと呟きながらアイスを舐める。自分のアイスはもうコーンまでいってて、食べ終わりそうだ。食べ終わったらどうしようかな。特にすることもないから、また違う温泉に入ってもいいけど、流石にちょっともういいかな
お昼も過ぎて夕方に近づいてきたから、街の提灯が灯り始める。まだ明るい空には映えないけど、夜が来ることを知らせるからちょっと浮き足たつ。イッカクちゃんとマッサージを受けて少し眠い。船に戻って夕飯前の一眠りしてもいいかもしれない。コーンの先を口に放り込んで飲み込んだ。足湯から出て結構びしょびしょになってきたタオルで拭く。ツナギの前を開けていたから閉めて夜の冷え対策をしているとペンギンはいつのまにか食べ終わっていたのか足湯から出てきた。
「どこ行くんだ?」
「うーん、ちょっと風に当たれるところ」
「いいねぇ、湯で熱ったあとは風冷ましがいいよな」
「一緒に行く?」
少し歩けば高台の公園があるみたいで、そこに行くのだと伝えれば、行くと二つ返事もらった。
夕方になった街は夜の準備をしていて、どこに飲みに行くかのお店選びをしながら道を進んでいく。あいにく私はお酒が飲めないから夜は大人しく船に戻ろうかなと思っている。
「また、船に戻るのか?」
「うん、眠たいし。ついでに船番と交代しようかな」
夜のシフトまでまだ時間はある。少し涼しんでから暑苦しい潜水艇に戻るとしよう。街の石階段を登れば街を見渡せる場所があって、ヨイショとベンチに腰掛けた。隣にペンギンも座って一緒に風を浴びる。
「帽子、暑くないの?」
「ん?ああ、別に。いつもだしな。かぶってた方が安心するよ」
「私、帽子似合わないから羨ましい」
「ほぼ顔見えてないと思うけどな」
ナハハと笑う彼に私も笑う。風が吹いて垂れてる部分と頭に乗ってるペンギンちゃんが揺れる。意外にも分厚いゴールドのループピアスをしているのが見える。
「キャプテンは、記念コイン集めれたかな」
「あるんじゃねぇか。観光地ならすぐ手に入るだろ」
他愛もない会話でチラホラとキャプテンの話が上がるから、やっぱり私たちはキャプテンが大好き。古参の彼はもっと好きなはず。
「熱気で忘れてたけど、秋島なんだよね。ここ」
風が冷たいのと紅葉した山々が美しい。いい島に着いたもんだ。ベポには感謝しないと
夕暮れの街を眺めていれば、少し眠気が強まる。ああ、船に戻らないと。
「眠いのか」
ペンギンの質問に、うんとかなんとか答えたような気がするけど、ちゃんと伝えたかわからなくなった。眠気が脳に届いてきた。ふわふわとした血行の良さで瞼が重たい。一眠りしてから船行こうかな
「起きろ、連れてってやるから」
じゃあ、よろしくとペンギンの肩に頭を預けて手を膝の上に置いた。手を引いてくれると思ったんだけど、ペンギンが少し固まってから動き出して浮遊感を感じて少し目を開けるとペンギンの胸板が見える。ああ、横抱きしてくれたのか。重たいからおろしていいよ。手を引っ張ってくれるだけでいいんだけど。そう言うにも億劫で、今この柔らかい眠気を話すのが惜しくて、もういいやと胸板にコツンと頭を預けた。ちょっと小さなため息が聞こえて、目を薄めて閉じる時ゴールドのループピアスが見えたからなんとなしに触る。
「なんだよ」
意外だよね。声に出てないけど自分の中で会話して終わらせた。持ち直すように少し身体が揺れたから大人しくしてようとてを引っ込めて眠りに身を任せることにした。
チラリと見えて触れたピアスが少し緩かったのは、湯気のせいだろうか。