遊歩道を渡って会いに来て


電撃の火花がバチバチと飛び散る後ろで青い電気を纏う彼は神秘的に見えた。
青い髪はワックスよりも何かでカチカチに固まってるように思える。瞳はサングラスというかゴーグルでわからないけど、人相は良くなさそう
「おい、女。今失礼なこと思ったろ」
わりと低音な声が問いかけてくる。ピリッとした空気に触れると身体は動けなくなっていうことを聞かない。彼は青い髪を少しだけ揺らしながら向かってきた。目の前に立った時、背の高さに驚く。遠くの空にいる時は小さく見えるから、よくわからなかったけど。口をへの字にして私を見下ろす。ちょっと怖い。
「おい、聞いてんのか」
聞いてるけど、口が開かないから申し訳ない。喉を絞ってやったのことで出した声は裏返っててちょっと、いやかなり恥ずかしかった。彼は全く気にしてなさそうだけど
「なんだ、喋れるじゃねぇか」
フンと鼻で笑う。2と書いてあるマントが風に靡く。なんで、2?
「この国を滅ぼしにきたんだが、お前も殺されておくか?」
長引いてた戦争で、向こう側が雇ったらしい。戦闘員にしてはヒーローみたいな格好。悪そうな笑みを浮かべて私を見下ろす。
「戦場に一般人がいるのは珍しくねえ。大方、巻き込まれて死ぬけどな」
楽しそうに言うから鳥肌が立った。ぐるぐると巻いた不思議な眉毛。それ、どうなってんの
「なんだぁ?俺のことじっと見つめてきて」
バカにしたように話す。この人の癖なのかな。いやだな、それ
「見惚れたか」
「み、見惚れました」
私の返しに彼はちょっと拍子抜けしてる。
「色盲です。特殊な。青色以外判断できません」
青を身に纏う彼にそう告げれば、ハァ?って眉を顰める。
「ハン。大変なこった」
「空も海も青い。世界には割と青が多くて助かってます」
「色なんて別に無くてもいいだろ」
「でも、あなたは青です」
私の言葉にちょっと固まる。青い髪、青いスーツ、青い電撃。色味がない私の世界に突如現れた青の人。
「青、好きなんです。唯一認識できる色なのと、澄み切った感じが好きです」
伝えても首を傾げるどころかバカにしたように笑う。性格悪い。戦場は瓦礫だらけで炎の音がする。どっかでまだ銃声の音がする。戦争を終わらせにしたわけではない彼は何者なんだろう。ヒーローみたいな見た目して全く悪役みたいな人相してる。
「気分がいいから、殺さないでおく」
バッとマントを翻すと変な形の靴からジェット機みたいなのを噴射する。
「せいぜい、生き残れよ」
捨て台詞にしては残酷すぎる。青い空に飛んでいき、電撃を散らして消えてしまった。青を纏う彼には会うことはきっともうないが、彼だけが私の瞳で認識できたのは今でもずっと覚えてる。



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