「欲しいものは、自分の手で掴み取るものよ」
今度のお茶会でウェルカムドリンクで使うスムージーの元を探しにきた島で獲物を捉えて帰ろうとした時。朝には嗅がなかった微かの苦い香りがした。
「誰だ」
「こちらのセリフ。ここは立ち入り禁止のエリア。どこの人?」
「私は、ビッグマム海賊団のスムージーだ」
「おぉ、ビッグマム。これは驚いた。こんな辺鄙な島にからなんて」
ビッグマムと告げても動かない女に少し警戒する。獲物を担いで剣に触れる。
「あーあー、いい。戦うつもりはないから。ここ禁止エリアだからね、その子置いて帰って欲しいだけなんだよ」
「ならん、こいつは茶会でのスムージーになるのだ」
「えぇ、絶対美味しくないよ」
「なっ!美味しいに決まってるだろ!絞る時変な鳴き声をするんだ」
「それ、味関係ある?」
バカにしたように笑うからつい力が入る。
「私が絞るスムージーは美味いのだ」
「私はそんなのより、桃とか黒胡麻とかそういうのがいい」
そうじゃない?なんて聞いてくるから、ちょっと口が閉じる。
「それ、美味いの?」
「ああ、さっき味見をしたんだが、美味かった」
「え、それあなたの舌がおかしいとじゃないよね」
「失礼だぞ」
「いや、だってさぁ」
うーんと考えてから女が少し歩き私の元に来る。月明かりで姿がわかる。暗がりで少し灯る赤い光から紫煙が登る
「いや、やっぱり美味しそうじゃないよ。というか、連れてっちゃダメだよ。禁止区域だって言ってるじゃん」
「くどいな。なら、奪ってみせよ」
「奪うほどじゃないんだよ、それ。うーん、困ったなぁ」
細い指先でタバコを挟みその親指で額を困ったように掻く。
「奪えないのなら、最初から口答えするな」
「ううん、そうじゃなくて。そもそも禁止なんだってば。もー、ほんと海賊なんだから」
「どういうことだ」
「というか、他にもうまそうなのあったでしょ。なんで、そいつなの」
「鳴き声が面白い」
「え、そこ?味じゃないの?信じられない」
「なんだと」
「それ絞ったら毛とか抜けて飲み物の中に入ってそう。うげ、気持ち悪い」
「勝手に想像したんだろうが!」
「取っちゃダメだけど、この奥に生えてたお花とかのがまだ美味しそうじゃない?」
「どれだ」
「うん。だから取っちゃダメだからね?聞いてる?」
「それはこちらのセリフだ」
もーなんて呟いてため息をこぼす。腰に手を当ててタバコを加える。ひと呼吸して赤い点滅が濃くなって薄くなって煙になったとき。ハッとして意識が戻る。いや、おかしいか、元々意識はあったのだから。何かが起こったのだ。なんだと見渡す前に肩が軽い。
どう表していいのかわからない鳴き声をあげた獲物が彼女の空中に浮いている。浮いている?
「おい!」
「ダメダメ、この子はここのエリアの子なの。禁止だってば」
まるで風船の糸を引いているかのように浮かぶ動物と女が森の奥に進む。
「おい!それは、私の獲物だぞ!」
剣に手をかけて少し威圧を出せば、女はタバコを咥えたまま振り返り笑う
「欲しいものは、自分の手で掴み取るものよ」
奪ってみせろだと。この私に。なんて軽率な。鼻で笑うと同時に感じる女の覇気。
ただ者ではないのはわかる。初めからこうすれば良かったのだと笑えば、空中に浮かせたまま私の方向に身体を向けポケットに片手を突っ込みのらりと立つ。不敵な笑みを浮かべたままタバコをひと呼吸。
細い指先からタバコが抜かれて、体の横に向けて落とす。足で火を消すために片足を少しだけあげてる。火を消したら合図。骨の髄まで搾り取ってみよ。
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