「私がいなくなったら寂しい?」

古城でゾロくんとミホークさんの手合わせを眺めながら紅茶を啜っていれば、ホロホロホロと可愛らしい掛け声でダイニングに入ってくるペローナちゃん。
ゾロくんが急に飛んできた時からもうすぐで2年になる。大怪我負ってたゾロくんの手当てをペローナちゃんに手伝ってもらいながらやって目が覚めた彼がミホークさんに土下座して教えを乞うたのが約2年前。時の流れはあっという間だ。
「なぁに見てんだ」
「ゾロくん、もうすぐで居なくなっちゃうなぁって」
「なんだぁ。あんな奴居なくても変わんねえだろ」
「えー、そうかな。寂しいけどな」
「オマエは鷹の目さえいれば問題ねえだろ」
「そりゃぁ、そうだよ。ミホークさん居ないと私この世界で生きていけない」
「ったく。あの鷹の目の側近が力を一つも持たない奴なんて、誰が想像できるんだよ」
「ミホークさんは、私が居なくても寂しくないかなぁ」
「はあ?鷹の目こそオマエが居ないとダメだろ」
「えぇ、そう?ミホークさん強いから、私居なくても生きていけるじゃん」
「バカ言え、鷹の目がオメーに対して驚くくらい過保護だろうが」
「そうかな」
「そうだろ!」
何言ってんだとプンスカ怒る。ほっぺた風船みたいに膨らましちゃって。可愛いんだから
彼女も飛ばされてきて、ミホークさんに驚いてた。私はこの世界のことを単語くらいしかわからないから、やっぱりミホークさんってすごいひとなんだなぁと世界一の大剣豪という単語の強さを実感したのが懐かしい。
どうぞと自分で飲んでた紅茶を彼女のカップを用意して注いであげる。今日のは香りが甘いのをセレクト。聞いたことない花のやつで砂糖なくても甘く飲める美味しいやつ。
「あと、何日だ?ゾロくん居るの」
「しらねぇよ」
「送別会したいんだけどなぁ。でも、彼禁酒中だし。酒のアテ作っても可哀想よね」
「私はパンケーキがいい」
「刺身にしても、結局彼にとってきてもらわないとだし」
「ワッフルでも可だ!」
「直接聞くのがいいよね」
「おい、聞いているのか!!」
「聞いてるよ。また明日の朝に作ってあげるから。ちゃんと起きておいでね」
頬杖ついて微笑みかけるとペローナちゃんは満足したのか、ふふんと機嫌よさそうに笑う。窓の外を見れば、遠くの方でゾロくんが教えてもらってる。健気で真っ直ぐな芯を持つ彼の成長を休憩タイムに紅茶片手に眺めるの、好きだったんだけどな
「もし、私が居なくなったら寂しいか?」
ふとペローナちゃんが私に問う。瞬きを一つ送って見つめる。つぶらな瞳がこちらをまっすぐに見つめるからつい笑っちゃう。
「当たり前。ペローナちゃん居ないと寂しいよ。こうやって私の話聞いてくれる人いなくなっちゃうわけだし。ペローナちゃん、美味しそうに食べてくれるし可愛い服選んでくれるし。さみしいよ」
素直に伝えれば満足したのか、嬉しそうに口角を上げてニッコリ笑う。あーかわいい。
「ペローナちゃんは、私いなくなったら寂しい?」
なんとなく、聞いてみる。居なくなるのはどう考えて彼女で。私はここから動くことはないのに。
ペローナちゃんは間髪入れずに返事してくれる
「あったりめぇだろ!!オメーが居なくなったら誰が私の話を聞くんだ!」
鷹の目と2人なんてごめんだぞ。そっぽ向いて呟く。
「ふふ、嬉しい。でも、ミホークさんとの生活も楽しいよ?」
「それは、オメーだからだろ。あんな冷たいやつ、私の話も聞かねえんだから」
「そうかな。ミホークさん。わりと話聞いてくれるよ?」
「だから、それはオマエに甘いからだろ!」
ミホークさん優しいのになぁ。なんて思うけど海賊の世界にもそれぞれあるよね。彼女がよく話してくれるモリア様だって彼女が慕ってるからにはいい人なんだろうし。
「寂しがってくれて、嬉しい。ずっと仲良くしてね」
「ふん。オマエが怒らせなかったらな。でも、いいぞ、オマエ可愛いからな」
「可愛いなんて思ってくれるの?嬉しい」
「はん。私は可愛いのじゃないと仲良くしねえんだよ」
「私はペローナちゃんが、もし可愛くなくても可愛いと思うけどなぁ」
「なんだそりゃ」
呆れたように呟かれる。私の入れた紅茶を飲んでる姿を見つめる。首を傾げる彼女に、なんでもないよと笑いかける。
「美味い、おかわり」
カップを差し出してくるから、はいはいとおかわりを注いであげる。ついでに席を立ってクッキー缶を取ってくると宝石みたいに瞳を輝かせる。
窓の外を見ればミホークさんは居なくてゾロ君1人で鍛錬してる。あとで食べたいもの聞いてつくってあげよ。クッキーを頬張る彼女に視線を戻せすけど彼女はクッキーに夢中で。ほんとかわいいんだから。君とのお別れが来るなら、先延ばしにできないかな、なんて。ミホークさんとの2人暮らしも好きだけど。4人暮らしも案外悪くないのだ。