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高校生編
3年の先輩に呼び出された2年の瑠流。人気のない教室で先輩と数人の取り巻きに囲まれていた。
「何か用ですか?」
「何その態度。あんた、何様のつもり?」
「北条グループのお嬢様の前でそんな強気になってていいのかしらね」
「自分が基山くんの彼女だからって調子乗りすぎ〜」
「……」
とりあえず様子を見よう。物申したい気持ちを堪えて瑠流は黙って話半分に聞いていた。
「将来吉良財閥を継ぐ基山くんが、出世も財産も何もない女を嫁にもらうなんて。なんて可哀想な話。昔から吉良グループとゆかりのある私、北条の方がふさわしいのにね」
「…確かに、私には何もないわ」
「……。だったら早く別れなさいよ」
孤児院出身の何処の馬の骨かも分からない銘柄なんて無い庶民のそれまた下級の女が、御曹司の息子の恋人だなんて不釣り合いだと。
でも───。
「じゃあ聞きますけど」
あごを引いて胸を張る。瞳子が教えてくれたことを思い出しながら瑠流は、自分より高い目線で見下ろしてくる女の瞳を逸らさず見つめた。
「もし好きなひとと一緒にいられて楽しいのに、他人から私もそのひとが好きだから別れてって言われて、納得できますか?」
「…ふ、ふんっ。そういう私情が通用すれば、の話ね。こっちは銘柄や社会的に関係してくる世界よ。好き以前の問題も絡んでくる、それに貴方はどう対応するのかしらね」
「……」
「ふふ。いくら才色兼備で基山くんの隣にいようと、肩書きはどうにも出来ないわよね」
「好き以前の問題でねちねち言わないでよ」
「…は?」
とうとう声に出してしまった。栓が外れてはあとは溢れるのみ。
「あんたなんかよりも、他の誰よりも、ヒロトが好きって気持ちは、誰にも負けないんだから!」
「…っ…」
「どうしたって、ヒロトは譲れないし。それにヒロトはモノじゃない。彼がどうするかは本人に聞きなさいよ!」
「俺ならここにいるけど?」
赤い髪を揺らしたヒロトはなぜだかやたらと楽しげな笑みを浮かべていた。
「ヒロト!?い、いつからいたの??!」
「俺も、瑠流が好きって気持ちは誰にも負けないよ?」
「〜〜〜っ!」
頭を抱える瑠流に笑みを向けて、それから視線を囲んでいた女子生徒達、そして最後に北条に移す。
「北条さん。俺は君たちが思ってるほど財閥としても個人としての力も未熟だ。…それに好きっていう気持ちも俺の影に自分の理想を投影してるだけなんじゃないかな?」
「……基山くん……」
「ありのままの俺を知ってるのは、この先も後も瑠流だけ」
腕を引かれ、瑠流の体は易々とヒロトの胸の中へ抱き込まれる。
「俺のお嫁さんは瑠流だけなんだ」