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随分昨日は怪我をしたみたいだな」

「......長にシバかれました」


それはそれは、と肩を竦める赤井さんに あはは、とから笑いを零さざるえなかった。昨日はとにかく酷かったお陰で頬はガーゼだけで済んだが、体の疲労と打撲痕は癒えない。楽しそうに笑いながらやるもんだから怖すぎるし、匣も恭弥の得意とするデスマッチ形式だったし幻術使えないとかもうどうにもならないやつだった。信じられる?あれを戯れとか言っちゃう恭弥に!
なんてこんなこと赤井さんに言えるわけもなく大人しくカバンからディスクを取り出し渡す。赤井さんはタバコの煙を燻らせながら受け取った。


「この家借家なのにタバコ自由ですか?」

「ああ、問題ないと聞いている」

「私も1本よろしいですかね」

「構わん、名前の好きにしてくれていい」

「じゃあお言葉に甘えて」


目の前に置かれていたショートホープを拝借して火をつける。久々のタバコは少しだけ苦く感じたが、それでもはちみつの様に甘いのは確か。最近はずっと加熱式しか吸っていなかったので、少しだけ噎せかえりそうになる。


「ニコチンきついですねえ」

「加熱式に比べればな」