降谷さんと深夜のコンビニ





23時。空は真っ暗まで行かずとも、ナイトブルーになっていた。
夜は少しまだ、肌寒い。
私は薄手のパーカーを羽織ってきたことに少しだけ後悔をしてしまう。隣を歩く夫はグレーとブラックのボーダー柄のパーカー。それにブラックのキャップ。

「ただのイケメンじゃないの!」
「しっ!夜だから響くぞ」

プンプンスカスカ。こんな可愛い表現ができる年頃でもないけれどしたくもなる。
なんたって、零くんは何を着ても似合ってしまうからだ。(さすがにあのクマさんパンツは似合わなかったけど)
そうです。お分かりですよね?
いくら人が少ない夜だろうと彼は目を引く出で立ちだ。仕事上これでいいのか?と聞きたくなるほどに、カッコいいのだ。まあ、自分の旦那だけれど。
そして本題ですが、私達二人して緩い格好で外にいるのかと言うと。

「いらっしゃいませ〜」

やる気のない店員さんの声に少しだけ気持ちが下がる。
零くんが明日はお休みとのことでビールを調達する為に二人でコンビニへと来たのだ。
零くんはかごを持った手と反対の手で私の腰に置く。どこのバカップルだよ、と思うけれど悪い気は全くしない。むしろ少し嬉しい私がいるのだ。
そのまま目的であるビールのある扉を開くと、冷気が逃げてきて私たちにぶつかる。まだまだ冷たさに慣れていない体は少しだけブルっとしてしまう。早く閉めたくて、ビールを三本取り出して素早く閉めると隣からクツクツと笑う声がする。

「動きが早いな」
「だって、寒いんだもん」
「はは、確かにそうだ」

そう言うと腰に添えられていた手が離れて、私の手に持つビールを攫っていく。それを優しくカゴへと入れると零くんはまた、ケースを見る。足りない?と聞くと小さく首を左右に振った。

「名前が好きそうなのがある」
「え?どれどれ?」
「開けるから少しズレて」

言われるままに横へとズレると零くんはそれを見て開ける。
一番下に陳列された瓶を手に取る。これ、と見せられるそれは私は未だ手をつけたことがなかった。

「シードルって」
「リンゴを発酵させて作られたお酒だよ」
「へえー」
「甘いし、カシスオレンジが好きな名前ちゃんには良いんじゃないか?」
「買ってみよう挑戦してみよう!」

零くんの手からシードルを取ってカゴへと入れる。これで用事は終わりだね、とレジで精算をしてもらうことにする。




「ありがとうございました〜」

自動扉が開くと、中が暖かかったせいか余計に冷たく感じる。少しの時間しか居なかったのに。寒い、そう呟いてから零くんの手を握ると、私の手ごとパーカーのポケットへと突っ込まれる。密着する分、暖かい。

「バカップルに見えない?」
「たまには良いだろ」
「うへへ、照れるけど嬉しい」
「だろ?知ってる」

小さく笑いながら、家へと帰る道を歩く。
帰ったらシードル飲もうね!なんて言えば、零くんは笑ってはいはい、と答えてくれたを

慣れないお酒に悪酔いしてしまうのは数時間後。






(うぅぅ、一気に飲みすぎた...)(もう寝てなさい)(零くんのお膝貸してください)(はいはい)