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"永遠にアナタのもの"

ラムをベースに、ホワイトキュラソーとレモンジュースをシェイクして出来る究極と言われるカクテル。
薄く白みがかったソレを一口口に含むと、口内には柑橘の甘み。それから酸味がきた後追うようにほんのりと苦味が少し。
流れ落ちていく感覚をゆっくりと味わった。

「永遠にアナタのもの、なんて素敵な言葉だと思わない?」

その問い掛けに隣に座る彼はスコッチを煽りながらクスリ、と笑った。

「貴女が言いたいのは"これで終わり"でしょう?」

浅黒い肌の手がそっと私の右手に重なった。
金糸のサラサラな髪がライトによって余計にキラキラと輝いて見える。トクン、トクン、と自分の心臓が脈打つ。

「僕は終わらせるつもりありませんけど」

彼の大きな手がキュッ、と私の手を包んだ。その愛おしくて、寂しそうな青い目に私は、視線を少し逸らした。
これでは、また、甘えてしまうではないか。
これ以上、甘やかさないで。依存しないで。依存させないで。
鼻の奥がツン、と熱くなった気がする。
このままではきっと自分の意志とは裏腹に、涙が出てしまう。それをどうにか阻止したくてまたグラスに口付けて、また胃へと落とした。

「アルコールよりも、タバコよりも、貴方は依存性が高くて厄介ね」

「褒め言葉として受け取りますね」

どうしたって、彼は私を手放すつもりは無いらしい。包まれていたはずの手はいつの間にか、彼の長い指が私の指と絡められていた。強く握り締められて、自分から離したくとも離れない。
結局私は離れることが出来ないのだろうか。そして、これで何回目なのだろう。考えれば考える程、頭に大きな警報が鳴り響いて、ガンガンと、金槌で殴られているかの様に痛い。

「名前さんの考えてる事が手に取るように分かりますよ」

「......何を、」

「この手を離したら、もう二度とこの世界で会えなくなるじゃないですか」

下唇を軽く噛んでしまう。

「僕は既に、友人達を空で待たせているんです。ですから、これ以上待ち人が増えるのは困る」

その言葉にまた鼻の奥がツン、としたのと同時に目頭がかあっ、と熱くなる。困る、その言葉は本当に、私がこれからしようとしていたことを分っていたようだ。
マスター、カードで。
聞こえてきた言葉に、隣を見ればカードを渡して会計をしているところだった。

「まだ、飲みきってないわよ」

ショートグラスにはまだ半分程残っている。それなのに、私の手を解かず立とうとする彼を制止する。

「飲みきったら、終わる」

「ちょ、」

「飲み干すな。それを飲み干す時が来るとすれば」

─────俺の最期だけだ。

耳元で囁かれた言葉は、私の頭をぐるぐると回った。
この人はあくまで、自分が死ぬまで手放してはくれなさそうだ。
じわりと涙が滲み、視界がボヤけてきたところで、私はそうね、と返して、繋がれた手を出来るだけの力を込めて握り返した。

きっとこの依存症は、治らない。