キャスケット
今日はしとしとと雨が降っていた。
秋島に分類されるこの島では、雨が降ると少し寒い。
私は船番をしながら自分の服の袖をひっぱった。
「あ、船長のお気に入りじゃん」
「こんばんは」
いつもキャスケット帽を被ったこの人は良くしゃべる。
「えっと名前、なんでしたっけ」
「シャチだよ、シャチ!前もゆったろーが」
少し警戒しながら彼は私の正面に座った
「はぁ、覚えてなくてすみません」
「覚えてなくてじゃなくて覚える気がないんだろ」
そんな話をした後、彼は黙って私の顔をじっとみた。
何をしたいのかよくわからないが、私は特に用はないしそのままほおっておく。
しばらくそうしていただろうか。一方的なにらめっこのような状態が続いた後、彼は大きく息を吐いた。
「あーーーーー!なんも言うことねぇのかよ!聞けよ!なんか!話せよ!」
「…はぁ、気が利かなくてすみません。」
なるほど、よくわからないが彼は私をおしゃべりをしに来たようだ。
それならそうと初めからゆってくれればいいのに。
「お前最近あれだろ、彼氏できたんだろ?よく街で見かけるぜ、なかなかイケメンじゃねーか」
「えぇ、まぁ、おかげさまで」
「意外だなーお前人に対して特別な感情とか抱かなそうなのに」
「あー、ははは」
まぁ、今だってそんなもの抱いてないですけど。
「お前、キャプテンといつも何話してんの?」
「特に何も…。質問に答えてるだけですよ。」
「ふーん。それにしてもさ、お前んとこスゲーんだな」
「…というと?」
「フリージアグループっての?ここら辺のもの全部そうみたいじゃねーか。」
「全部とは言いませんけど…。まぁここらではかなり大きいグループだと思います。」
実際この港町の、3割くらいがうちの傘下だろうか。
それでも、体感的にはもっと大きく感じるだろう。
「船番ってのもさ、ここまでしっかりしてんの俺初めてだよ。街の人にもすげー信頼されてんじゃん?」
「まぁ、そうですね。ゴロツキの警察のようなものなので。裏には裏のルールがあるというのが暗黙の了解です。」
「げー、恐ろしいなー」
「…それを海賊のあなたが言いますか。」
あきれたように息を吐きながらそう言ったら彼は無邪気に笑って、「確かに」といった。
彼は海賊という割にはとても明るくて純粋で、警戒心がない。
太陽と海がよく似合う、本物の船乗りのようだ。
「いやー、あんたってとっつきにくいのかと思ったら意外と話しやすいのな」
「はぁ、そうですか。」
「なんつーかさ、人に興味がない分警戒心もないんだろうな」
「それは…はじめて言われました。」
「お前が不愛想な分、こっちも変に気ぃ使わなくていいしな!」
「それはほめてるのかけなしてるのか微妙ですね」
ただ彼が話す前よりやたらと嬉しそうにしてるから、ほめてるということにしておこう。
彼の隣はなんだか少し居心地が良い気がした。
- 4 -*前次#OnePiece(タイトル)
ALICE+