伊集院北斗


今日は北斗くんのソロのお仕事に同行していた。直帰の予定だった私は、この後一緒にどうですか?という北斗くんの誘いで、オシャレなブルーのライトに照らされた暗めの店内のバーに来ていた。
「北斗くんいつもこんなにオシャレなところに来るんだ」
「プロデューサーはあまり飲みに行くイメージありませんね」
「そんなことないんだけど…行くとしても居酒屋の方が多いかな」
「そうなんですね。意外です」
目を丸くして驚いている北斗くんに私は曖昧に笑う。私は普段からお酒を飲む方では無いのだが、友人に酒豪のアイドルがいるためにスケジュールが合えば居酒屋しんでれらに集まって近況報告をし合うのだ。彼女曰く、おちょこにちょこっとらしいのだが、全くそんなもんじゃないと笑ったのは最近のことだった。
「…もしかして346の方とですか?」
「そうだけど…どうしたの?」
北斗くんは持っていたグラスを口につけ、傾けた。確か頼んでいたのはプレリュード・フィズというカクテルだった気がする。静かな空間にカタンとグラスを置く音が響く。
「いえ、ただちょっと妬けるなと思って」
思わず視線を北斗くんへと向けてしまう。普段の柔らかい雰囲気とはかけ離れた真剣な眼差しに息を飲んだ。
「また時間がある時にはぜひ俺と飲みに行きましょうね」