薔薇と宝石の約束




船の様子を見て回っていた白鳥がある事に気付いて戻ろうとする頃、西野の部屋を捜索していた高木がベッドの下から指輪のネックレスを発見した。


「決定的な証拠が出たようですな!」

「待って下さい警部さん!私じゃありません!」

「アンタが犯人で無いなら、どうして指輪があったんだ?」

「分かりません!私にも…」


西野が目暮や小五郎に訴える中、コナンは部屋の中に入り込む。


(犯人は十中八九スコーピオンだ。だとしたら、西野さんがスコーピオンという事に……あれ?)


枕に違和感を感じて手に取ってみると、他の部屋とは違い、それはもみがらの枕だった。
そして考えられる可能性に気付いた時、勝手に入ったコナンは殴ろうとした小五郎の手をすり抜け、西野に声をかける。


「ねえ、西野さんって羽毛アレルギーなんじゃない?」

「え?そうだけど…。」

「じゃあ西野さんは犯人じゃないよ!」

「何っ?!」


不思議そうに答える西野にコナンがきっぱり言うと、小五郎の驚いた声と同時に強く睨まれたような視線を感じ、コナンは慌てて振り返る。


「…え?!」

「いいから、続けて…。」


視線を感じた所に、いつの間にか戻ってきた白鳥が居て驚いていると、何事も無かったかのように先を促された。


「う、うん…。だってホラ、寒川さんの部屋、羽毛だらけだったじゃない。犯人は羽毛枕まで切り裂いてたし、羽毛アレルギーの人があんな事するわけないよ!」

「なる程。では、本当に羽毛アレルギーかどうか鈴木会長に証言してもらうとしよう。」





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〈痛む心が壊れる前に 14〉







「それは私が証人になります!彼は少しでも羽毛があると、くしゃみが止まらなくなるんです。」


ロビーに戻って鈴木会長に話を聞くと、ハッキリとアレルギーだと言われ西野の表情が和らぐ。


「そっか、西野さんが蘭の部屋から逃げるように出て行ったのは、鳩がいたからなんだ!」


園子が昼間の様子を思い出して納得していると、目暮は他の容疑者が思い当たらずに考え込む。


「警部さん、スコーピオンって知ってる?」

「スコーピオン?」

「色んな国でロマノフ王朝の財宝を専門に盗み、いつも相手の右目を撃って殺してる、悪い人だよ!」


コナンの説明に、目暮はそんな名前の強盗が国際手配されていたのを思い出す。


「それじゃ今回の犯人も?!」

「そのスコーピオンだと思いますよ。」

「柚希ねーちゃん?!」


突然口を挟んだ柚希の言葉にコナンが驚くが、そんな事は気にせず柚希は続ける。


「それに今回だけではなく…キッドを撃った犯人も、同じだと思います。」

「何だって?!」

「彼のモノクルにヒビが入ってましたよね?それが証拠。」

「スコーピオンはキッドを撃って、キッドが手に入れたエッグを横取りしようとしたんだよ!」


柚希の言葉に続いてコナンが説明すると、小五郎がコナンに詰め寄ってくる。


「何でお前、スコーピオンなんて知ってんだよ?」

「あ、いや…それはその…」

「あ、それなら…」

「阿笠博士から聞いた…。」

「「?!」」


答えに詰まるコナンに柚希が助け舟を出そうとするが、別の声に遮られて2人同時に声の主を振り返る。


「そうだよね…コナンくん…。」

「あ、うん!」


(どうして白鳥刑事がそんな事…もしかして、新一の電話を聞いてた?変な事まで聞かれてなければ良いんだけど…。)


チラッとコナンの方を見ると、白鳥の方を気にしながらも、何か思い当たったような顔をしている。


(やべぇ、電話の時の視線は白鳥刑事だったのか…。そういえば、“秘密が明るみに出る”って、白鳥刑事の事か?)


大阪で引いたおみくじを思い出しているコナンも、その様子を気にしている柚希も、厳しい疑いの目を向ける蘭に気付かない。


「しかし、スコーピオンが犯人だったとして、どうして寒川さんから奪った指輪を、西野さんの部屋に隠したんだ?」

「それがさっぱり…。」


目暮のもっともな疑問に小五郎は天を仰ぐ。
普段なら眠りの小五郎で解決する所だが、白鳥の前で下手な事は出来ない為、コナンは他の方法を考える。


(…え?)


視線を感じた柚希は、その主のコナンを見て“お前が言え”と言いたいのを感じるが、残念ながら真相は分かっていない為それは出来ない。

誰にも気付かれないように小さく首を横に振ると、意味が通じたらしく、どうするべきか考えている様子で周りを見ている。


(……何か頭がボーッとする。色々考え過ぎたかな…。)


子供の演技でヒントを出そうとするコナンの様子を見ながら、柚希はソファに座った。


(新一、後はがんばれ…。)

update 2015.01.28
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