「名前!こっちこっち!」
すっかりクリスマスムード満載な街の人混みの中、大きく手を振る青子の元へ名前は駆け寄る。
「ごめん、待たせちゃったね。」
「ぜーんぜん!突然誘ったのは青子だもん。」
お父さんへのプレゼントを買うという青子に付き合って何軒か周り、見つけた趣味の良い店。その中の一角で、名前は立ち止まった。
散々悩んだ結果マフラーに決めた青子は、ラッピングされた袋を持って店を出る。
入り口で待っていた名前に声を掛けると、その手元にはさっきまでなかった袋。
「あれ?名前も何か買ったの?」
「うん…ちょっとね。えっと、もう帰る?」
「あ、買う訳じゃないんだけど、ちょっと行ってみたいお店があるんだ!付き合ってもらって良い?」
「もちろん!」
気恥ずかしそうに言う名前に不思議そうな顔をする青子は、帰る?の問いに少し慌てたようにお願いして歩き出す。
たどり着いた場所は至る所がキラキラと輝いているアクセサリーショップ。そっと扉を押す青子に続いて入った名前は、嬉しそうに店内を見渡す。
「うわー、オシャレな店だね!」
「ずっと気になってたんだけど、青子1人だと中々入りづらくて…。」
「あー解るかも。」
もちろん入っていけない事はないのだが、子供の自分達が気軽に入って良いものか悩むような、どこか高級そうな雰囲気を感じて名前も同意する。
しかし、ざっと見た所安い訳ではないものの、手が届かない程ではない値段の物が多く並んでいる。2人は目を合わせて安心した様に笑った。
「可愛いけど大人っぽくて素敵なのばっかりだね!…名前、それ気に入ったの?」
「あ…うん。」
名前の手元にあるネックレスに気付いて青子が覗き込むと、見えるように青子の方に向けた。
「クローバーかぁ!名前好きなの?青子はクローバーより、お花の方が好きかも。」
「元々好きではあるんだけど……クローバー見ると、思い出すから。」
「思い出すって、何を?」
ネックレスを見つめながらそう言う名前に、青子が聞くと小さな声で呟く。
「……黒羽くん。」
「えっ?!快斗?」
「くだらないんだけど…クローバーと、黒羽って、似てるでしょ?」
頬を少し赤く染めて、嬉しそうに言う名前に、青子は目を見開く。
「え、名前って…快斗の事好きだったりする?」
「隠してるつもりは無かったんだけどね。」
「そっか……そうなんだ!名前っ!青子、応援するからね!」
そう言って遠慮なく抱きついてくる青子に、名前は驚きつつも周りの客の視線を感じる。
「あ、青子…取りあえず皆見てるから離れようか。」
何とか青子を自分から剥がし、恥ずかしさからそのまま店を出ると、帰り道は“いつから好きだったのか”などの質問責めだった。