「やっぱりいない、か」

クリスマスの朝、アズミはいつもより早めに起きて談話室に来てみた。もちろんリドルに接触するためである。

アズミは、このクリスマス休暇中でリドルとの腹の探り合いをやめてもっと近い関係になろうと決めたのだ。いい加減このままではいけない、と感じ始めたのである。

(リドルなら早めに来てファンから来たクリスマスプレゼントの処理をしてるかと思ったんだけど、まあリドルなら私の予想よりもっと早く行動しちゃうか)

談話室にあるツリーの下にあるのは、既に『アズミ・エノモトへ』とかかれたプレゼントの山のみである。そう、スリザリンでクリスマス休暇に帰省しないのはアズミとリドルだけなのだ。

ツリーを取り囲むような量のクリスマスプレゼントは、こちらの予想を遥かに超えていた。先日のお見舞いの品でさえ処理しきれていないのにどうしろというのだろうか。アズミは肩を落とすしかなかった。

渋々山盛りのプレゼントに手を伸ばしてみる。知らない名前宛で送られてきた高価そうなアクセサリーや羽ペンなどの中から、1つ見覚えのある名前を見つけた。

「リドル…?」

艶のある黒い小さな箱に添えられたメモには流れるような文字で『トム・マールヴォロ・リドル』と書かれていた。

(まさかあのリドルが人にプレゼントをあげるなんて…!)

ファンサービスの一貫として女子生徒に贈りつけている1つなのだろうが、驚きを隠せなかった。恐る恐る片手に乗る小さな箱を開けてみる。

「わぁ…綺麗」

中に入っていたのは、蛇をイメージした片耳ピアスだった。一見耳にフィットする小ささの普通のリングピアスだがよく見ると蛇の形に彫られていて、まるでウロボロスのようだ。

箱の中に『穴を開けなくてもいい、魔法でつけられるピアス』とかいてあったので、いつも髪をかけていて隠れない左耳にピアスを近づけ、杖を軽く振った。耳元で小さく金属音がして、ピアスが耳につく。アズミは談話室にある鏡の前にいき、自分の左耳をいろんな角度からみた。

(結構いいかも…)

動いても揺れたりしないので邪魔にもならず、それでいて華やかな印象を与えるピアスにアズミはご満悦だった。

もしかして、リドルのことだから何かの魔法でもかけているのではないか、という考えにたどり着くその時までは。

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